約 1,236,995 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/510.html
「う~う~♪」 俺が散歩にと道端を歩いているとそんな声が聞こえた。 「ゆっ、やめてね、まりさは食べないでね!」 見ると、ゆっくりれみりゃがゆっくりまりさを食べようとしているところだった。 周りを見るとゆっくりれいむの髪飾りやそれよりも小さい飾りや帽子が落ちていた。 なるほど、ゆっくり一家を食べつくしたか、れみりゃにしては大戦果だ。 「ゆっ、ゆっ! あ、お兄さん、ゆっくり助けてね!」 まりさがこちらに気がついた。なんだかうざい声でぴーちくと助けを求めてくる。 なんでれみりゃはさっさと食べないんだ。 「う~おながいっばい~♪」 なるほどな。 もう少しお腹に余裕ができるまでまりさをキープしてるのか、 それともまりさをいたぶっているのか、ゆっくりゃのくせに生意気だ。 そこである考えが思いつく、れみりゃがいたぶっているのを見ていたら俺もしたくなった。 「やぁ、れみりゃ、そんな食べ飽きたものは捨ててぷっでぃ~ん食べたくないかい?」 「う~♪ れみりゃぷっでぃ~んも食べる、もっでぎでー♪」 最初は甘言で連れて行こうとしたが早くも面倒くさくなった。 何故俺がゆっくりゃなどにない頭を割いてまで考えねばならないのか。 と、言うわけで優しくれみりゃに近づき、羽をもぐ。 「うっっがっぎゃゃー! ざ、ざくやー!!」 とたんにすさまじく泣きだし、暴れる、うるさいので殴る。 「うぎゃー!」 「お兄さんありがとう! ゆっくりれみりゃはゆっくりしんでねっ!」 その隙にまりさが逃げようとする、それも捕まえる。 「ゆっ、なにするのお兄さん、ゆっくりれみりゃと同じ場所ではゆっくりできないよ! ゆっくりはなしてねっ!」 そう言って媚びた笑いを向けてくる、こいつは俺を味方と思っているんだろう、うざいので殴る。 「どぉじでごんなごどずるのー! だべるなられいむからだべでー!」 食べないし。それにお前が身代わりにしようとした家族はもういないよ。 俺は泣き叫ぶれみりゃとまりさを両脇に抱えて家へと帰った。 家に帰ってきた俺はさっそくれみりゃをゆっくりれみりゃ用透明ケースに詰め、まりさは適当に籠に閉じ込めた。 (まずは腹を空かせてもらわないとな) れみりゃは今、満腹なはずなので少し時間を置くことにする。 次の日、再び様子を見に来た。 「ざくやー! れみりゃおながずいだー!」 れみりゃを見る、よし、再生してるな。 しかしなんという燃費の悪さ、昨日はあんなに満腹だったのに。 「ゆ、ここじゃゆっくりできないよ、ゆっくりだしてね!」 まりさは昨日のことは覚えてないようだ、とりあえず籠から出してやる。 一瞬れみりゃに怯えるが、動けなそうなところを見ると揚々とこちらに近づいてきた。 「ゆっくりおなかへったよ! ゆっくりごはんだしてね! 出さないのならはやく出て行ってね!」 ぴょんぴょんと俺の目の前で跳ねる、うざい。 「あぁ、まりさ、ご飯だけどな」 「ゆっくりはやくだしてね!」 「まりさには餓死してもらうから、ないんだ」 軽く言う、実際どうでもいい。 「ゆっ?」 意味がわかってないんだろうか、まりさは少し考え。 「どおじでぞんなごどいうのー!」 泣き出した、うざいので殴った。 まあ、まりさいじめは今回は置いておこう、今回の主役はれみりゃなのだから。 早速れみりゃをケースから取り出してまりさを渡してあげる。 「う~♪ う~♪ れみりゃの御飯だぞー♪」 お腹がすいていたのか、今度はすぐにまりさを食べようとするれみりゃ。 まりさは痛みとショックで固まってる。 もちろん、俺もれみりゃにご飯を食べさせる気はない。 まりさがれみりゃの口に入るその直前、れみりゃをぶん殴り、まりさを救出する。 「うあっー、ざくやー! どおじでー!」 そう、俺の考えとはれみりゃのゆっくりを食べるをやめさせることだった。 もちろん、いやがらせの意味で。 とりあえず、同じことを朝昼晩三回繰り返す。 次の日、部屋に入ると 「「おながずいたのー!」」 ゆっくり二重奏だ、これは耳障りな音楽だ。 しかしこいつらには昨日のことは忘れてしまったのか、取り合えずまりさを取り出す。 「おにいざん、ばやぐごばんもっでぎでー!」 「駄目だよ、もう二度とまりさはご飯を口に入れられないんだよ」 「どぼじでぞっ!?」 話の途中で面倒なのでまりさの口をホッチキスで止める、伝統的ゆっくり口封じである。 「うっーうっー」 はは、なんだかまりさ、れみりゃみたいだぞ。 さて、つぎはれみりゃだ、っと。 「うぎゃー!」 れみりゃの髪を引っ張ってケースから出す、こいつ重くて出すのも面倒になってきた。 でも、出しとかないとまりさ奪還失敗するかもしれないしなぁ。 もうちょい広いケース買えばよかったか。 「ほーら、れみりゃ、ご飯だぞー」 「う~♪ う~♪ れみりゃのごはん~♪」 こいつ昨日と同じセリフはいてやがる、もちろん、食べる前に殴る。 「なんで~なんでれみりゃにごばんだべざぜてぐれないのー!」 「それはね、れみりゃがゆっくりを食べるからだよ」 「れみりゃのごはんー!」 「ちがうよ、れみりゃのごはんはゆっくりじゃないんだよ」 「う~?」 じゃあ、何を食べるんだろう、俺も問答の答えは用意してなかった。 ぷりんか、いやいや、そういえば雑食じゃないか、なんでも食うのか。 ならばべつにゆっくりにこだわる必要ないのか、まりさいらなかったな… まりさを踏む。うーうー唸っている。 これはこれでいいか。折角だ、続けてみよう。 一週間後、今日も同じようにれみりゃを取り出す。 髪をつかみ続けたせいで10円禿ができてしまった。 まりさのほうはもう、ほとんど動かない、死の目の前だ。 「ざくやー、ざくやー」 「はいはい、ごはんですよー」 まりさを渡す、れみりゃは少し考える、空腹で目の前のゆっくりを食べたい、でも絶対阻止される。 でも食べたい、でも絶対殴られる、食べられない上に殴られる? れみりゃは気がついた、もうこれは食べられない。 「いや゙ぁぁぁぁ! もうゆっくりだべだぐないのぉぉ!」 そう言ってまりさを投げ捨てる。 ここにきてようやくわかってくれたか、うんうん。 ピクピクしてるまりさ、気分がいいので口を破って(癒着してた)あげる。 「ゆ……ゆ…」 「まりさ、よろこべ、ご飯をやるぞー」 「ゆ…?」 そう言って一週間前のれみりゃの羽をあげる。 「ゆ…ゆ…」 はじめはゆっくりと食べていたまりさだったが、徐々にスピードを上げて羽にがっつく。 「むしゃむしゃむしゃむしゃ!」 そしてフィニッシュにゆっくり味わうまりさ。 「むーしゃむーしゃ、しあわせー♪」 「それはよかった」 うん、どうやら体力も大体回復したみたいだな。 「おにいさんもっとごはぴぐ!?」 そしてまたホチキスで止める。 「最後の晩餐、楽しんでもらえてよかった」 そう言ってまりさをかごに押し込む、必要もないので、もう二度と出さないだろう。 「れみりゃにもご褒美上げないとなー、はい、ピーマン」 「う~ざぐやー!」 お気に召さないようだ、一週間も食べてないのにすごい根性だ。 「あ、そ、じゃあ、いらないね」 「う~だべる~」 「あげない」 目標は達成したし面倒になってきた。 れみりゃは割と好きだし、ひと思いに殺してあげよう。 「う~! ざくやー! このおじさんごろじでー!」 やっぱりれみりゃはなぶるように殴る蹴る。 「やっぱり死なないなぁ」 れみりゃは再生能力が高いのだ、面倒なので、ケースに詰めておくことにした。 「だ、だずげ…」 「れみりゃ、やっぱり君もそのまま餓死ね」 そのまま俺は部屋を出て行く。 「だずけでーざくやー! い゙や゙ぁぁぁ!!」 れみりゃは次の日に死んでいた。 まりさの方も三日と持たなかった、やはり体力が落ちていたか。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2810.html
ほんのりと俺設定注意 車を走らせ馴染みのコンビニへと向かう。 途中ゆっくりが飛び出してギリギリかすめて通過。セーフ。 車が汚れなくて良かったとひと安心。 駐車場でに着いてドアを開けると不快な熱い外気、と、 「ゆっふ!ゆっ!ゆーふっ!!」 不快な声が耳に響く。 店の前に設置しているゆっくり専用ゴミ箱から聞こえてくる。 その前を通りすぎる際にゴミが話しかけて来た、 「ゆっ!?おにいさん!れいむをたすけてねっ!」 無視。 「どぼじでむしするのぉ!?」 自動ドアから店の中に入る。冷房が効いていて最高の環境だ。 お目当ての弁当と飲み物を買ってから週刊誌を立ち読みする。 そのあと、気に入った雑誌を追加購入して店を出た。 「おにいさん!かわいいれいむをたすけにきてくれたんだねっ!」 (まだ居るのかよ……。) れいむは、ゴミ箱の淵をもみあげで掴み踏ん張っている。 体は半分穴に埋もれていて、自力での脱出は厳しそうだ。 「れいむはとってもゆっくりできるんだよーっ!」 滅茶苦茶必死の形相。凄く暑苦しい。 全然ゆっくり出来て無いじゃん。 「はやくたすけてねっ!このままじゃおちちゃうよっ!?」 唾を撒き散らし喚く。 こんなゆっくり誰も助けたいとは思わない。 「かわいいおちびちゃんをみせてあげるから れいむをたすけてねっ!」 「…おちびちゃんはどこに居るんだ?」 「おにいさんのあしもとにいるでしょうっ!おめめがみえないのっ!?」 足元? 下を見ると確かに居た。 虫の息だったが。 「おちびちゃんたちはかわいいでしょっ!?ゆっくりれいむをたすけてねっ!」 「可愛くないから助けなくていい?」 「どぼじでぞんなごどいうの゛ーーっ゛!?」 号泣。本当に暑苦しい。 下に落ちている赤ゆを摘みあげれいむに見せる。 驚愕の眼差しの後、「ひどいことするにんげんはゆっくりしねっ!」と喚きだす。 ただ拾っただけだっつーの。 「れいむ口開けて。」 「ゆっ!そうだねっ!れいむのおくちのなかにゆっくりかくれてねっ! やばんなにんげんさんはゆっくりできないよっ!」 赤ゆ達を放り込む。 勝ち誇った顔がまたムカツク。何も好転してねーよ。 「おちびちゃんたちをきずつけた いしゃりょうをせいきゅうするよ!」 チラチラと手に下げた袋を見ながら催促をして来る。 口に赤ゆ詰め込んで流暢に喋るその無駄な技術。何げに凄くね? 「はいはい。わかりましたー。」 「なかなかいいこころがけだよっ!」 戯れにパックのジュースを飲ませてみた。れいむは至福の顔でとろけている。 普段口に出来ない甘みに感動しているようだ。 ゴックンと喉?を大きく鳴らす。 「もっといしゃりょうをちょうだいねっ!こんなんじゃたりないよっ!」 大口を開けて追加を要求する。 そこで先程放り込んだ物体が無いことに気づいた。 「……赤ゆは?」 「ゆゆっ?」 口を閉じて、もごもごと動かした後、れいむは固まった。 信じられない…。と言う顔をして、また口中を舌で探る。 いや、居ないから。明らかにお前が飲んだから。 「うっ!うわぁぁぁぁぁぁぁっ゛!!?あかちゃんがぁぁぁっ!」 「あーあ。お前アホだろ?」 「じゅーすをいっぱいおぐぢにいれるからでしょぉぉぉっ゛!?」 また言いがかりですか。 もう付き合いきれん。というか暑いからそろそろ帰りたい。 「ゆっくりはんせいしたなら れいむをひろってかわいがってねっ!? いっぱいかわいいあかちゃんうんであげるよっ!かんしゃしてねっ!?」 自信に満ち溢れた声を張り上げる。 可愛いからジュースを貰えたし、ゆっくりプレイスにも連れて行ってくれる。 お嫁さんといっぱいすっきり~っ!してあかちゃんを作るよっ! 都合の良い妄想で未来を作り出している最中に、人間の手がゆっくり迫ってきた。 それを見てれいむは最高の笑顔で声を張り上げる。 「れいむをゆっくりさせてねっ!にんげんさん!」 薄暗い穴の底で蠢く物体が二つ。 ゆっくり出来る環境では無い事は確かである。 臭い,狭すぎる,暑い。まさに地獄。 「ぐぞにんげん!れいぶをおどしだなーーーーっ!?」 油断していたれいむはあっさり落ちた。 箱の中で運悪く逆さまに落ちて身動きが取れなくなっている。 「ゆ゛ーーっ!ぜっだいゆるざないよーーーっ!!」 マヌケな姿で強気に吼える。 体を震えさせ起き上がろうと試みるが、スペースが狭すぎて思うようにいかない。 そこで不安からちょっと弱腰になってしまい、 「いまたすけてくれたらゆっくりゆるしてあげるよっ!」 あっさり和平交渉に入った。 「きこえてるんでしょぉぉぉぉっ!おみみがわるいのっ!?」 『…ユッ』 「かわいいれいむがこまってるんだよっ!ばかなのっ!?」 『ユフッ。コフーッ!』 「しぬのっ!?……ゆっ!?じゃましないでねっ!せなかがあついよっ!」 れいむは背中に熱い風がかかるのが気になった。 人間さんを説教してる時に邪魔するなんてゆっくりできないよ! さらに声を張り上げて話を続けようとした時、 『アマアマッ!イタダキマァァァスッ!』 後頭部に鋭い痛みが走った。 次は頬っぺたが引っ張られる感触。 そしてブチブチと千切れて何かの口に収まる。 「いだいーーー~っ゛!どぼじでっほっべざんがいだいのっ゛!?」 髪ともみあげが無理矢理毟られ 頬からは餡子がボタボタと床に落ちる おりぼんが軽快な音を立てて砕けた 硬い物がれいむの体を削り取っていく 『ウッメッ!メッチャウメーーー~ッ!!』 「やべでーーっ!?ゆっぐぢでぎない゛ぃぃぃぃっ゛!!」 許しを願っても全く辞める気配を感じない。 自分の餡子が急激に減っている事が嫌でもわかる。 このままではれいむが死んじゃう! にんげんさんっ!にんげんさんっ!おねがいっ! 「にんげんざん゛っ!だずげでっ!れいぶだべられぢゃうよっ!」 『ムーシャ!ムーシャッ!!』 「おでがいだがらっ!ゆっぐぢざぜでーー~っ!?」 『ウンメッ!マジパネェッ!!』 「うっ゛ぎゃぁあぁぁぁぁぁぁ!?」 このゴミ箱は水流式ではない。 コンビニでは回収作業が定期的に行われるので、投下式を設置していた。 この最新のゴミ箱は、転倒防止機能と這い上がりが出来ない構造に作られている。 回収作業を容易に行える様に、箱の底には棘状の突起物は無い。 その為、生きたまま投入されるゆっくり達は、そのまま底で生存する確率が高い。 餌の代わりに他のゆっくりを共食いして、生き残るのも珍しい事ではなかった。 そして、れいむはゴミ箱に居た主の糧となり死んだ。 食われる少し前にジュースを大量に飲んだ為なのか、 生命維持活動が活発になってしまい、なかなか絶命する事が出来なかった。 どこまでも不幸なれいむである。 「やっぱり野良は可愛く無いな。」 残りのジュースを飲みながら結論を述べた。 あの自信満々な声で喚いているのを聞いていたら、いつの間にか突き落としていた。 野良は人をイライラさせる何かがある。 やっぱり躾が行き届いて可愛いゆっくりの方が良い。 「そのあまあまをまりさによこすんだぜっ!」 「まりさっ!かっこいいっ!」 「ぴゃぴゃ!ぎゃんばれっ!」 「いちゃいめみりゅまえに こうちゃんしてにぇっ!」 とか思ってるとまた野良ゆっくりだよ。 全然ゆっくりできない。 「さっさと…」 「はいはい。ゆっくりゆっくりーっ。」 ポイポイと捨てる。 手際のよさに呆気を取られ、親達は何の反応も見せずゴミ箱の中へと消えた。 「…ぴゃぴゃとみゃみゃがぁー~っ!?」 「うぅ?にゃんでぇぇぇぇっ゛!?」 煩く騒ぐ赤ゆも例外なく放り込む。 片方の赤ゆを放り込んだ所で、残りの1匹が、 「…お、おにいしゃんのこじょもになりゅよ!」 早い、早いよ!裏切りが。 この赤ゆは優秀だ。生き残る術を知っている。 「ゆゆー~ん!きゃわいく…。」 でも残念ながらゴミ箱にIN! 汚いし可愛くも無い。それに簡単に家族見捨てるのは良くないよ? みんなに会わせてやるから謝ってきな。 片道キップでの送迎になっちゃったけどね。 ……すっごくガタガタ揺れてるよ。喧嘩でもしてるのか? まぁ、なにはともあれゆっくり仲良くしていってねーっ。 家族の幸せを適当に願いつつ帰宅する事にした。 「ゆあっ゛!?ゆっぐぢやべでっ!まりざはづよいんだよっ! あ゛ぁー~っ゛!?」 「れいぶはおいじぐないよっ!だべるならおちびぢゃんをたべてねっ!?」 「「ぢょぼじでじょんなごぢょいうにょー~っ゛!?」」 『ムーシャ!ムーシャッ!シッ…シアワセーーー~ッ!!!』 「「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ゛!?」」 食欲旺盛にモリモリと食らう。 親ゆの大半を食らった後、隅に逃げた赤ゆを追い詰めていく。 「りぇいむはおいちくにゃいよ!おにぇちゃんのほうがおいちいよ!」 「いみょうとのほうがまろやきゃでおいちいよ!だきゃら……ゆびゃぁ!?」 「ゆっふゅふゅ!れぇいみゅはえりゃばれたんだにぇ!しゅーりりゅーりすゆよ! ゆ…?おくちしゃんあけてにゃにするの?」 一口で絶命した。……ら幸せだったのに。 紙一重で生きていたが擦れ声を上げたのは大失敗。再度大きな口が迫ってくる。 もう一度容赦なく噛まれる恐怖を味わいながら、赤ゆは天に召された。 租借しながら狂ったように歓喜の声を上げ続ける主。 環境のストレスから食べる欲求のみが色濃く表面化して、完全に壊れていた。 この主も夕方の回収を待たずに死ぬだろう。今からまだまだ暑くなる。 じっくり蒸されてこの世にお別れをするのは時間の問題だ。 ひと時の幸せを求めて哀れな主は腹に同胞を詰めていく。 帰り道の途中で路上に転がる、ゆっくり家族の変り果てた姿が視界に入った。 (さっきのが餌を狩った後に戻ろうとして轢かれた。のかな?) ゆっくりの固体判別は難しい。 外見個性が乏しすぎる。 そこに加えて現状はただの餡子の塊が数箇所に点在するのみ、 詳細な判別はほぼ不可能。 「こういうのは誰が片付けるんだろ?」 疑問を呟きながら、塊を避けるのは対向車が接近してる為にちょっと厳しいと判断する。 洗車を覚悟しながら、愛車で餡子に新しい轍を刻み込み走り去った。 終 「れいむとまほうのいた」 「金バッチ品質保障証」 「まりさは優秀な劇団員」 「ぬし」 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/84.html
長い間手入れを怠っていたため、畑はすっかり雑草で覆われていた。 倉庫から背負い式の散布機を取り出し、除草剤を散布する。 ひとしきり散布を終えたところへ、草の中から小さな影が飛び出した。 「ゆっゆっゆっ!!なんだかむずむずするよ!」 影の正体は、紅白のゆっくりだった。 農薬によって泡を吹いて朽ちている個体はよく見かけたが、生きているものは珍しかった。 爆発的な繁殖力を持つゆっくりは田畑を群れで襲撃することが多い。 時には花壇さえ食い散らかしていくのだから、害虫より余程たちが悪い。 「おじさんたすけて!むずむずするよ!」 「これじゃゆっくりできないよ!」 散々、人の畑に入り浸っておきながらゆっくりしたいとは図々しい奴だ。 良い機会なので直々に懲らしめることにする。 「どれ、おじさんが診てあげよう。口を開けてごらん」 そう言いながら、散布機のエンジンをかけ直す。 「あ~~ん、ゆぐっ!?ぐぃ!?ぐぃぃぃ!!」 大きな口を開けたゆっくりの中に、むずむずの原因をたっぷり吹き付けてやる。 じたばたと暴れるゆっくりを押さえ付け、最後の一滴まで注ぎ込んでやった。 「さあ、おくすりを飲ませてあげたからもう大丈夫だよ」 「ゆ゛っ……ゆ゛っ……?」 弱い除草剤では農薬ほどの毒性がないのは分かっているが むずむずするらしいので何か面白い効き目はあるに違いない。 「ゆっ!?あたまがもっとむずむずするよ!?」 ゆっくりに変化が現れ始めた。 じたばたと飛び跳ねる毎に、はらり、はらりと「頭髪」が抜け落ちていく。 「なにかおちてきたよ!」 自分の髪が抜けていることにも気付かないのか、ゆっくりは地面に落ちた髪を見て不思議そうな顔をする。 しばらくして、ついに赤い髪飾りが黒い尾を引いてぼとりと落ちた。 もはやゆっくりの頭部は色白の表皮が光沢を放つのみとなっていた。 「すっきりー!さっぱりー!」 「そうかい、それはよかったよ。気を付けてお帰り」 「おじさんいいひと!ゆっくりかえるよ!」 すっかり元気になったゆっくりは仲間の所へ帰って行った。 予想外に奇妙で興味深い結果が得られて満足したため、食後の農薬は勘弁してやった。 …… … 禿ゆっくりが森の木々の間を飛び跳ねながら進む。 妙に軽くなった体を嬉しく思いつつ、いつもの調子で大きな声で叫ぶ。 「ゆっくりかえったよ!」 するとどこに隠れていたのだろうか、たちまち10体の紅白や白黒のゆっくり達が現れ、声の主を探し始める。 「まりさー!こっちにいるよ!!」 しかし禿ゆっくりがいくら叫んでも、他のゆっくり達は戸惑うばかりだった。 「おーい!みあたらないよ!」 「れいむー!どこにいるの!」 禿ゆっくりには事態が飲み込めるはずもなかった。 「ゆっ!?れ、れいむだよ?!ここだよ!ゆっくりしようよ!」 「なんだこれ!へんなまんじゅう!」 「ほんとだ!おいしそう!」 髪を失ったゆっくりは――同属の目から見ても饅頭でしかなかった。 「ゆ、ゆっ!?ひどいよ!どうして!」 たちまち他のゆっくりの目の色が変わる。 「おーなかすいた♪」 「おーなかへった♪」 「たーべちゃーうぞー♪」 禿ゆっくりを包囲するように10体のゆっくり達が詰め寄って来た。 「ゆっ!?みんなやめてね!たべものじゃないよ!?」 どんなに叫んでも禿ゆっくりの声は届かなかった。 白黒のゆっくりが木の上からジャンプし、禿ゆっくりの真上に落ちる。 ブチュリ。 「ゆ゛っぐり゛い゛い゛い゛ーー!!?」 「ゆっくり しね!!」 下敷きになった禿ゆっくりから勢いよく飛び出した餡子が地面にぶち撒けられる。 「みんなでたべようね!」 「あまあま♪」「うまうま♪」 薄れていく意識の中で、禿ゆっくりはかつて仲間と一緒に食べたまんじゅうの味を思い出した。 しかし、まんじゅうの形だけはどうしても思い出すことが出来なかった。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1240.html
第二章 脱出口である光の元に辿りつくため、様々なルートを試行錯誤しながら、機械室の上部へ向かうゆっくりれいむ、ゆっ くりまりさ、ゆっくりみょん。 あっちこっち行くたびに、3匹の体力は確実に奪われていった。それでも、互いに励まし 合い希望を忘れない。 「ゆっくりいこうね!」 「ゆっくりがんばって!」 「ちーんぽっ!」 3匹は助け合いながら、ゆっくりだが、確実に外への穴に近づく。途中、ゆっくりが足場にするにはやや細いパイプの 上を進むことになった。やや危険だが、ここを通れば、出口へとぐっと近づく。 「ゆっくりすすんでね!」 「ゆっくりしていってね!」 ゆっくりれいむ、ゆっくりまりさは細いパイプの上を何とか、這うように前方へ向かう。 しかし、ゆっくりみょんの様子がおかしい。 「ゆっくりゆっくりちーんぽっ!ゆっくりゆっくりちーんぽっ!」 独特の鳴き声を、オマジナイのようにして発しながら歩くが、今にも落ちそうなほど、左右に大きく体をゆらしながら 進んでいる。理由は、カチューシャの飾りだろう。そのせいで、ゆっくりみょんは重心がややズレているのだ。 また、今のゆっくりみょんは、ここまで来るのに体力を消耗していることも原因だ。 「ゆっくりとぶよ!」 ゆっくりれいむとゆっくりまりさが、パイプから、安定した人間の作業員用の足場へ跳び移る。 「すこしゆっくりできるね!」 安堵するゆっくりれいむ、ゆっくりまりさ。 しかし、その後ろで、 つるんっ 「ちんぽーーーっ!!」 とうとうゆっくりみょんが落下した。パイプの上の水滴に体を滑らせてしまったのだ。 べしゃ そのまま床へと落下するゆっくりみょん 「ゆっくりだいじょうぶ!?」 心配するゆっくりれいむとまりさ。 「ゆっ…ゆっ…。」 よろよろと体を立てるゆっくりみょん。なんとか大丈夫そうだ。 元々ゆっくりはある程度の弾力があることもあり、今回程度の高さからの落下なら、傷は負っても死ぬことはないだろ う。 「すこしやすんでね!!」 「ゆっくりのぼってきてね!!」 落ちてしまったゆっくりみょんに気をつかう2匹。 「ゆっくりしてからいくよ!」 二匹の呼びかけに応じるゆっくりみょん。どうやら大きなダメージは負っていない。 しかし… チュウ……チュウ…。 ゆっくりみょんの耳に、機械室の機械音以外の“何か”が聞こえてきた。 チュウ!チュウ!チュウ!チュウ! その何かとは、…鼠だ。 本来、食品加工工場であるゆっくり加工所は、清潔さが保たれているはずだが、この機械室は掃除も難しいこともあり、 非常に不衛生な状態になっている。そのため、床下にはゆっくり加工所内のゆっくりを狙った鼠が住み着いてしまったの だ。 今になって鼠が集まってきたのには理由がある。無機質な鉄のニオイしかしない機械室のなかで、ゆっくりちぇん が破裂したため、甘い匂いが広がってしまったのだ。 鼠達がゆっくりみょんに雪崩のように襲いかかる。 「ゆゆゆゆゆっ!?」 体力を消耗したゆっくりみょんは逃げることもままならない。 チュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウ チュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウ チュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウッ! あっというまにゆっくりみょんの表面を埋めつくす鼠の群れ。その数は、ゆっくりみょんに直接ひっついていないもの も含めるとざっと200はいるだろうか?そして、鼠達はゆっくりみょんにいっせいにカジりつく。 「ち、ちんぽーっ!!」 グチュグチュグチュグチュグチュグチュ 全身を襲う痛みに、ゆっくりみょんが声をあげる。 しかし、それが更なる地獄をゆっくりみょんに味あわせる。 なんと鼠達は、同時に食すことができる面積が広がったと言わんばかりにゆっくりみょんの口の中へと雪崩れ込む。 「ゆぐぎぎぎがばばば…っ!!」 痛い、苦しい。ゆっくりみょんはもはや、息をするのもままならない。 「ゆぐりぎがおごごげげがっ!!!」 外から、中から皮と餡子を食い破られていくゆっくりみょん。 体外、体内から激痛が襲う。 「はやくやめてね!!!」 「ゆっくりさせてね!!!」 上から、その地獄絵図を目の当たりにする二匹のゆっくり。 しかし、助けに行くことはできない。行けば自分達も同じ目に会うことは明らかだからだ。 ゆっくりみょんを中身とした、表面がうごめく球状の鼠の集合体がゴロン!ゴロン!とあちこちへ転がる。 「ぢんんんぼおおおおっ!!!」 ゆっくりみょんが、必死の抵抗をしているのだ。 「ゆっくりがんばってね!!!」 ゆっくり達のエール。 しかし、その鼠の集合体は少しずつ……少しずつ……小さくなっていく。 「ゆっぐりいいいいっ!!!」 泣き叫ぶゆっくりれいむとゆっくりまりさ。 それが小さくなっていくことが何を意味するのか、知能の低いゆっくりでもわかるようだ。 やがて、その集合体は動くことすらなくなった。表面のみが、激しくうごめいたまま。 第三章 数分がたった。 あれほど激しく床でうごめいていた鼠の群れの鳴き声はもうなく。また機械の音だけが部屋に響く。 床には、そう、何も無くなっていた。 ねずみも、ゆっくりみょんも。 「ゆっぐ…」 そのはるか上の足場を、涙を流しながら進むゆっくりれいむとゆっくりまりさ。 あと少しで出口だ。しかし、どこか足取りは重い。この短時間で、二匹も“おともだち”を失ったのだから。 しかし、悲しみで立ち止まっているわけにはいかない。また鼠の大群が現れ、今度は上まで登ってくるかもしれない。 それに、モタモタしていれば人間達がこの機械室に入ってくるだろう。 「あとすこしでゆっくりできるよ!」 「はやくゆっくりしたいよ!」 そして、ゆっくりれいむとゆっくりまりさは、ここから跳べば、光が差し込む穴まで直接続く足場へと行けるところま で来ていた。 最後の足場までの距離…それは今のゆっくりれいむとゆっくりまりさの跳躍力で何とか届くかもしれない距離だ。ちょ うど、ゆっくりちぇんが死んだパイプまでの距離とほぼ同じだろう。 「こんどはゆっくりとべるかな?」 不安そうな顔をするゆっくりれいむ。もし落ちれば、もう一度ここまで登る気力は二匹には無い。 「ゆっくりとぶよ!」 後ろから強い口調で言葉を発するゆっくりまりさ。まるで、あの時のゆっくりちぇんのようだ。 「ゆっくりがんばって!」 応援するゆっくりれいむ、そしてゆっくりまりさが助走をつけるために後ろへ下がる。 かつてのゆっくりまりさなら、怖じけついていたかもしれない。しかし、今は違う。ゆっくりちぇんが前へ進む勇気を くれたのだ。 駆け出すゆっくりまりさ、そして。 ぴょん! ぷにん、と着地するゆっくりまりさ。見事、ゆっくりまりさは最後の足場へ到着した。 「ゆっくりーっ!」 歓喜の雄叫びをあげるゆっくりまりさ。 次はゆっくりれいむの番だ。意を決して助走するゆっくりれいむ。 ぴょん! 届く…かに見えた。 「ゆーーっ!!」 ほんの少し、届かない。無情にも、落下するゆっくりれいむ。 しかし、 ガクンっ! ゆっくりまりさがギリギリのところで、ゆっくりれいむの髪の毛を口で掴んだのだ。 「ゆっくりはなさないでね!!!」 叫ぶゆっくりれいむ。 重い…。疲れきったゆっくりまりさには、今のゆっくりれいむの体重は重すぎる。 「ゆゆゆゆっ…!」 しかし諦めない、鼠の群れに襲われながら、食われながらも抵抗したゆっくりみょんの姿が、ゆっくりまりさに諦めな い心を与えたのだ。 「ゆっく…りーーーーっ!!!」 まりさは渾身の力で、ゆっくりれいむを引き上げた。勢いで、後方に転がるゆっくりまりさとゆっくりれいむ。 ごろんごろん…。 「ゆっゆっゆ……ゆっくりーっ!!!」 二匹は、跳びはねて喜びを分かち合う。そう、2匹はついに光の下へ辿り着いたのだ。 「ゆっくりできるね!!!」 「おそとにでれるね!!!」 あとは、穴から外に出るだけだ。その穴の入口はゆっくりが入るには十分の直径だった。 まずは、ゆっくりれいむか ら光の穴へと入っていく、続いて、ゆっくりまりさが後へ続く。 二匹は、懐かしい外の景色を思い浮かべていた。これからの幸せに心を膨らませながら…。 しかし、ある程度進んだところで、2匹は異変に気づく。風が強い、それも、追い風だ。 「ゆっ?」 しかも、それは前に進むたびに強くなっていく。 そして、 「ゆうううううーーーーっ!!!」 急激に前へと引き寄せられる、ゆっくりれいむ。 そう、その穴は機械室の換気口だったのだ。追い風は、換気扇により中から外へ換気される空気によるものだった。換 気扇が高速で回転していたことと、太陽の光のまぶしさで、ゆっくりには非常に見づらかったのだ。 「ゆっくりとまってね!!!ゆっくりしていってね!!!」 前へと飛ばされるゆっくりれいむの後ろから、叫ぶゆっくりまりさ。 「ゆっ、ゆっ、ゆーーーー!!!」 絶叫するゆっくりれいむ、その瞳には、高速で回転する換気扇がはっきりと映っていた。 それはどんどん近づいてく る、いや、正確にはゆっくりれいむが近づいているのだが。 破滅は一瞬だった。 高速回転により換気扇のプロペラは、ゆっくりれいむの顔の部分の表面を皮と餡子ごと切り裂く。 「ゆっぐ!!!ゆっぐりだずげでええええ!!!」 顔の無いゆっくりれいむが泣き叫ぶ。 そのまま換気扇に巻き込まれ、あっというまにゆっくりれいむは餡子のミンチとなり、外へ吐き出された。 「れ゛い゛む゛う゛う゛う゛うううう!!!」 その光景を目の当たりにしたゆっくりまりさ。光の穴は、天国ではなく、地獄への扉だったのだ。 急いで、その穴か ら出るゆっくりまりさ。ゆっくりまりさのいる地点はまだゆっくりを引き寄せるだけの吸引力無かったのが不幸中の幸い だったか。 「ひっぐ!えっぐ!…ゆっぐり…でぎないよ!」 むせび泣くゆっくりまりさ。これからどうすればいいのか、もうわからない。 下に戻り、機械室から出て別の脱出ルートを探すのか?いや、それはあまりにも非現実的だ。機械室の外にはそれこそ、 作業員や警備員が徘徊している。 いや、それ以前に下へ戻る気力も起きない。 その時、換気口から音がした。 ブルン、ブルルン…プスプス……。 何事かと、ゆっくりまりさは穴を覗く。すると、何やら様子がおかしい、意を決し、再び中へ入る。今度は急に引き寄 せられることのないように慎重に、慎重に奥へ進む。しかし、わずかに追い風があるくらいで、一向に引き寄せられる気 配がない。ゆっくりまりさは更に進む、すると、換気扇が壊れて止まっているではないか、そのうえ、プロペラ部分は大 半がバラバラになり、残った部分もヒビ割れている。 「ゆっくり?」 換気扇へ近づくゆっくりまりさ。恐る恐る、換気扇にふれると、音を立てて崩れ落ちた。 そう、換気扇は、ゆっくりれいむを巻き込んだことで、故障し破損したのだ。 結果的にゆっくりれいむは、ゆっくりまりさのために道を開いたのである。 ゆっくりまりさは、呆然としながら、換気扇の向こうへ進む、光はすぐそこだ。 ついにゆっくりまりさは換気口の出口に立つ。空はすっかりと夕焼けに赤く染まっていた。 突然…ゆっくりまりさの頬を涙が伝う。それは止まることなく、流れ続ける。 その涙は、これまでの悲しみによる涙ではない。ゆっくりまりさが生まれて初めて流した、喜びの涙であった。 ゆっくり加工所の最上部に近いとこから望む草原と森の、かつてない光景を目にしゆっくりまりさは感激の涙を流した のである。 「……………。」 言葉にはならなかった、ゆっくりまりさは、かつてないほど、深く、深くゆっくりしたのである。 それは、時間にして30分くらいだろうか。 野生のゆっくりのごく一部には、高い所から飛び降りる術を知っている。正確には、壁を転がるのだ。 ゆっくりまりさは、目から歓喜の涙が枯れた後、換気口の出口から垂直の壁を転がった。そして、地面が近づくと、壁 を体の底で蹴り、衝撃を逃しながら今度は地面を転がった。 ゆっくりの球状に近い体型と、弾力性を利用した技である。猫は、7階の高さから飛び降りても無傷の場合があるとい う。が、このゆっくりの技はそれ以上のものだろう。 「ゆっくりしていってね!!!」 ぴょん!と体を起こしたそのゆっくりまりさは、住み慣れた森へと帰っていった。 終章 それから三日が経った。森の中に、主を無くした、ゆっくりまりさの帽子が落ちていた。 ほんの三日程前の夜、ゆっくりフランに襲われ、残虐の限りを尽くされ死んだゆっくりまりさの帽子だ。 そう、そのゆっくりまりさとは、あのゆっくり加工所から脱出したゆっくりまりさだ。 もし加工所から抜け出さず。檻の中にいたままなら、もう少し長生きできたかもしれない。 しかし、あのまま檻の中にいることは、ゆっくりまりさにとって、生きていることにはならなかった。 なぜなら、ゆっくりできなかったのだから。 あの、夕焼けの草原と森の光景の前に佇み、草原を駆け抜けてゆっくりしたゆっくりまりさは、最後の生を受けたので ある。最後に足掻くことで、ゆっくりまりさは生きることができたのである。 今日も、捕らえられた野生のゆっくり達がゆっくり加工所へ連れて行かれる。 おわり
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2778.html
ゆっくりと紐 体内受精をしたゆっくりれいむと、それを見守るゆっくりまりさ。 とうとうここまで来たのだなあ、と、感慨深く思い起こす。初めてこいつらと 出あったのは、春の桜が散り切る前のことだったろうか。ゆっくりの家宣言をさ れた俺は、その唐突な内容よりも愛らしい彼女達の仕草に心を奪われてしまった のだ。 だって可愛いのだもの。 毎日のようにご飯を食べさせ、ワガママを聞き、ゆっくりとさせてやる毎日。 頼っているという自覚すらないのだろうが、それでも俺は幸せで、ゆっくりと できた。 冬も間近、二匹の初めての子が生まれた。枝にまるまると実った彼女達は、本 当に幸せそうに笑っていた。俺自身家族が増えたことに大層喜び――その頃には 『おにいちゃん』ではなく、『おとーさん』と呼ばれ始めていた――、さらにゆ っくりとした暮らしを深めていた。 だが俺の稼ぎはそれほど多くはなく、多数の家族を養えるほどではなかった。 ゆっくりの姉達は一様に、父母と新しい子供を養うことを選択し、次の子供が生 まれると、なごり惜しげに皆旅立って行くのだった。 悲しい出来事もあった。 どこからか入り込んだゆっくりぱちぇりーに、生まれたての子ゆっくりが連れ 去られ、多数が行方不明になったこともあった。他のゆっくりが入り込み、子供 たちの何人かが犠牲になったこともあった。それは不幸ではあったが、家族の絆 をより深め、こうして新たな幸せを迎える原動力ともなったのだ。 世の中には、ゆっくりを食べたり、虐待したりする人がいるらしい。見つけ次 第に殺してしまうのも居る。だがどうだ、ゆっくりはこうしてゆっくりしている だけで、果てしなくゆっくりをもたらしてくれると言うのに……。 ・ ・ ・ 「うまでるよ! もうずぐばぢざとでいぶのあがじゃんがうばでるよ!」 顔を真っ赤にして、それでも幸せそうに叫ぶ母れいむ。父まりさと子供たちに 囲まれた彼女に近づいて、出産の手助けをしてやる。 「れいむは出産初めてだよな?」 「う゛? 子供だぢならだぐざん産んだよ?」 違う違うと手を振り、俺は簡単な説明をする。 「枝から生まれる子供と、おなかから生まれる子供は違うんだ。今回みたいにお なかから生まれる場合、何の準備もしないと、危険が危ないからゆっくりできな いんだよ!」 そう告げられた一同は、「ゆっくりしたいよぼおお!」「あかじゃん! まぢ ざのあがぢゃんが!」「ゆっくりなんどがぢでえええ!」などと騒然とし始める。 「でも、これさえあれば大丈夫だよ!」 出産のために用意してきた道具を取り出す。泣き叫ぶ声が歓声に変り、俺はそ の道具を母れいむに巻き付けた。 「おとーさん、これなに? ゆっくりできるもの?」 「ああそうだよ、ゆっくりできるよ……とさて、聞いてくれ」 「何なに?」「ゆっくりする?」 「これはね、『紐』というんだ。出産をするときに、赤ちゃんが勢い良く飛び出 すからね! 怪我をしないように巻きつけてあげるんだよ! みんなも怪我した らいけないから、つけてあげるね」 信頼している『おとーさん』のセリフに、誰一匹疑うことすらなく、『紐』を 体に巻きつけるゆっくり達。 「あ、まりさはこっちに来なさい。ゆっくりと出産を見れるようにしてあげるか らね!」 「わ、わかった! ゆっくり赤ちゃん見たいよ!」 俺は父ゆっくりまりさを、母れいむの目の前に固定した。俺は出産補助装置の 概要を、皆に説明する。 装置に固定された母れいむは、ゆっくりしながら出産することが出来る。そし て出産された赤ゆっくりは、赤ゆっくりゆっくり装置によってゆっくりさせられ る。子ゆっくりゆっくり装置は、母れいむの目前、固定された父まりさのすぐ体 下に設置されている。 「さあそろそろだな。みんな、動くと危ないから動いちゃだめだよ!」 「「「ゆっくりじっとしているね!」」」 「ゆ゛っ! ゆ゛っ! ゆ゛ぐりいいいいい!」 息も絶え絶え、頬を真っ赤にしながら、母れいむの出産が開始された。母れい むに巻きつけた『紐』には多少ゆとりがあるため、この程度で怪我をすることは ない。 「赤ちゃんだ! れいむの妹だよ!」 「違うよ、まりさの妹だよ!」 「ゆっくり! ゆっくり生まれていってね!!」 皆の応援のなか、生まれながら声を上げる赤ゆっくり。 「ゆ、くり、……う?」 違和感に気付いたのだろう、慌て始める。 「ゆ、おかあしゃんゆっくり出来ないよ! お顔がひたい、ひたいよぅ!」 「ば、ばだじのあがじゃん! どぼじだぼおおお!?」 「ゆ、ゆっくりがんばってね!」 だがもう出産は止まらない。勢い良く子供を産み出す母れいむ。 「い゛っ! ゆ゛っ! ぐりじでぶううううううううううう!」 母れいむに巻きつけられた鋼鉄の紐に輪切りにされ、絶命したまま勢い良く飛 び出した赤ゆっくりは、そのまま赤ゆっくりゆっくり装置にその亡骸を晒した。 「う゛あああ! でいぶどぶりぢいいいいいなあがじゃんがああああ!! あが じゃん! あがじゃっ!?」 そのショックが次の出産を早めたのだろう、下腹部が膨張し、新たな赤まりさ が顔を覗かせる。 「うっう……。お、おかあさんがんばって!」 娘達の応援に、今失ったばかりの命を思うゆとりも与えられず、出産を開始す る母れいむ。だがすでに赤まりさの顔には行く筋もの切れ込みが入っており、 「ゆっぐうううああああぶっ!!!」 生を得るのと同時に死に誘われた。 「うばああああああああああああ! あが! でいぶのあがああああ!!」 「あがじゃあああんんんんんんんん!!!」 装置に横たわり、ぴくぴくと震える、赤まりさだったもの。 ゆっくりと生まれ、ゆっくりと育ち、ゆっくりと旅立つはずだった、幸せなゆ っくりとなるはずであった餡の塊は、何を言うこともない。 絶望に染め上げる家族に向けて、僕は慰めの言葉を紡ぐ。 「もしかしたら、産むのが速すぎたのかもしれないな。可哀想に……ゆっくりし たかったんだろうにね」 その言葉にびくりと体を震わせる反応する母れいむ。目の前の我が子の亡骸に、 絶望の表情を浮かべる父まりさ。声すら立てずに涙を流すゆっくり一家。 そんな彼女達の心を癒すために、ビデオを見せてやる。 「おや、あれは何かな……?」 母れいむの、昔生んだ娘達の姿が、そこには映し出されていた。ビデオの概念 を知らない一家は、まるでその中に生活しているように見えることだろう。昔、 唐突に現れたゆっくりぱちぇりーにさらわれたはずの、生まれたての我が子。彼 女達の元気な姿を見せられた母れいむは、彼女達が生きていることに――今の状 況を忘れているわけではないだろうが――歓喜した。 喜びもつかの間、ゆっくりぱちぇりーによっていたぶられ、無残な姿を晒す赤 ゆっくり。その衝撃は、またも出産を早めたようで、何とか赤ゆっくりが生まれ ないように暴れだす母れいむと父まりさ。 「だめ! ゆっぐり! もっどゆっぐりじでえええええ! うばでだいで! う ばれないでぼおおお! ゆっぐりじでよぼおおお!」 「がばんじででいぶ! がばんじだいどまでぃだどでいぶのごどぼがああああ!」 ゆっくり達は気付かないが、装置は時間とともに母れいむを締め付け、出産を 強要する作りになっている。装置に固定されており、そもそも出産をコントロー ルする術も知らないであろう母れいむは、またも生まれながら死に絶える赤ゆっ くりを目の当たりにせざるを得なかった。 ビデオからは延々と、巣立ったはずの子ゆっくり達の断末魔が流れつづけ、生 まれては死んでゆく赤ゆっくりの残骸は増えていった。 ・ ・ ・ 時間を掛ければこんなにも「ゆっくり」させてくれる存在になるのだ。 次回の出産のためにも、信頼を損ねることは出来ないのだが、彼女達の信頼を 踏みにじる時のことを考えると、とてもゆっくりとした気分になれるのである。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/807.html
森でまもなく子供が生まれるゆっくりれいむとそれを見守るゆっくりまりさをみつけた。 「どうしたんだい?」 「ゆっ!?まりさ、にんげんだよ!」 「おにーさんどうしたの!ゆっくりしていってね!」 俺の声かけに気づいたゆっくりまりさがれいむを守るように俺の前に立ちはだかる。 すこし膨れているのでだいぶ警戒しているのだろう。 れいむはまりさに隠れながら自分の頭の上の実を気にしている。 その後ろは土が崩れている用に見える。 「もしかしてここに巣があったのかな?」 「ゆぅ・・・おにーさんにはかんけいないよ!はやくかえってね!」 「そうだよ!れいむはふたりでゆっくりしたいよ!」 「まぁまぁ。この様子だと巣を掘りなおすにはしばらく掛かるんだろう?」 「ゆぅ・・・」 「その間うちに来ないかい?」 俺の質問にまりさとれいむは俺を気にしながら相談を始める。 ゆっくりにとって人間は捕食者の一つである。 昔は人間を気にせず人の畑や家に入り込んで食料を漁っていたが、人間によってゆっくりが殺されだすとゆっくりは森の奥に逃げ出した。 森の中で人間にあってもすぐに逃げるようになったので一部を除く人間は無視するようになった。 これにより人間とゆっくりは上手く生活できるようになった。 しかし、一部の人間がゆっくりを捕まえに森に入っていたので、このように人間を警戒するのである。 「おにーさんのていあんはうれしいけどまりさたちはもりでくらすよ!」 「でも近くに身を隠せる場所は無さそうだけど。」 「でもにんげんはしんようできないよ!」 「子供達がどうなってもいいのかい?」 「ゆゆゆゆ・・・」 人間は怖い。しかし、このまま森でいるとやがて夜になり、捕食者が目を光らす時間になる。 まりさは何とかなるかもしれないが、実を生やしたれいむは明日にはいなくなるだろう。 まりさは決断を迫られた。 「ゆっ!おにーさんすこしゆっくりさせてね!」 「まりさ!?」 「だいじょうぶだよれいむはまりさがまもるよ!」 「じゃあ俺の後についてきてね。」 まりさは子供とれいむを見捨てれなかった。心配するれいむをなだめるまりさの目にはれいむを護るという決意の火が見えた。 もうすぐ日が暮れる。このままでは俺も危ないので崩した巣穴を離れた。 俺は後ろからついてくるまりさとれいむを気にしながらゆっくりと家に帰った。 帰る間俺は一度もれいむに近づけなかった。 近づこうとするたびにまりさが間に入るのだ。これなら夜も過ごせたかもしれない。 家につくと庭の一角にある小さな小屋に連れて行く。 「ゆゆっ!これはほかのゆっくりのすだよ!」 「そうだよ!かえってきたらゆっくりできないよ!」 「あぁ前にも使ってたゆっくりがいるだけだよ。」 「ゆぅ?」 「ここは巣をなくしたゆっくりに使わせるために作ったんだ。 今までに何匹ものゆっくりがここで巣が見つかるまで暮らしてたんだよ。」 「じゃあいまはいないの?」 「そうだよ。今は誰も使ってないからそこでゆっくりしていってね。」 「ゆっくりしていくね!」 「おにーさんありがとう!」 ちゃんと俺にお礼を言うゆっくり。 家に来るまではだいぶ警戒していたが、先ほどの話とこの巣に残っていたのだろうゆっくりの気配から俺を少しは信用したようだ。 しかしまだ完全に信じきってはいないようで巣箱の入り口は俺の手が入らないように枝や木の葉で隠せるようにしていた。 「ずいぶん厳重だね。」 「しらないばしょだからね!なにがくるかわからないもん!」 「まりさ!ごはんはどうしよう?」 「ゆぅ・・・」 「こんな時間だしね。何か食べれるものを持ってこよう。」 「ゆ!おにいさんいわるいよ!」 「まりさ!ここはおにーさんにたすけてもらおうよ!れいむはおなかがぺこぺこだよ!」 「ゆゆゆゆ・・・」 「料理に使わなかった野菜屑だから平気だよ。俺は捨てるものがなくなってうれしい。君達は食べれるものがもらえてうれしい。」 「ゆっ、じゃあへいきだね!おにーさんごはんください!」 「じゃあこっちにきて一緒に食べようか。」 そういってまりさとれいむを家の中に招待する。 れいむは縁側を登るのに苦労しそうだったので俺が持ち上げることにした。 まりさはいやがってたがお腹がすいたれいむはすぐに持ち上げてと言って来た。 まりさも言葉では嫌がっているがよだれがすこし見える。 朝早くに巣を壊したのでほとんど一日何も食べてないのだからしょうがないのかも知れない。 「うっめぇ、これめっちゃうめぇ!」 「むーしゃむーしゃしあわせー!」 野菜屑を一心不乱に食べるゆっくり達。それを見て俺も夕食を食べだした。 夕食を食べ終わるとこれからのことを話し合う。 「ゆっ!あさになったらでていくよ!」 「おにーさんありがと!」 「でも巣の当てはあるのかい?」 「ゆっ・・・でもなんとかするよ!」 「まぁまぁもうすぐ雨が良く降るのは知ってるだろう?」 「うん!もうすぐゆっくりできなくなるよ!」 「巣ができる前に雨が降っちゃうと溶けちゃうよ?それでもいいのかい?」 「ゆぅぅぅぅぅ・・・」 「だからさ、巣が出来るまであそこを使ってほしいんだ。餌は俺がやっても良いし自分でとってきてもいい。」 「おにーさんいいの?」 「ああ、もちろんその代わり話し相手になってくれないかな?ひとりだと退屈でね。」 「いいよ!ゆっくりしていってね!」 餌は雨の日以外は自分でとって来るそうだ。俺としては毎日上げてもよかったがまりさが嫌がった。 「かりのしかたわすれちゃうとだめだからね!」 「まりさはとってもじょうずだもんね!」 「れいむもすごいじょうずなんだよ!」 「はいはい。」 次の日からまりさとれいむの新しい生活が始まった。 朝のうちからまりさは巣のあった場所に出かけて穴を掘りに、れいむは新しい巣で子供達が落ちないようにじっとしている。 俺はまりさについていき一緒に森で食べ物を集めた。 森のことはゆっくりの方が詳しいのだ。まりさに連れられてかごをいっぱいにして家に帰る。 まりさは帰るとすぐに巣にいきれいむにご飯をあげる。そして次の日までれいむやおれとゆっくりして過ごす。 物覚えもよく、人の畑の餌をとらないなど俺が教えたことはすぐに覚えた。 どうやらゆっくりしているときに教えてもらったことはちゃんと覚えるらしい。 昔はゆっくりに厳しく教えていたそうだから逆効果だったのだ。 そんな生活も1週間続くと終わりが見える。 れいむの実がだいぶ育ち、赤ちゃんゆっくりの形が分かるようになった。 ゆっくりれいむが6匹、ゆっくりまりさが同じく6匹。 まりさの巣ももうすぐ完成だという。 「おにーさんいままでありがとう!」 「れいむたちはあしたにはでていくよ!」 「急だね。赤ちゃんが生まれてからでもいいんじゃないか?」 「にんげんになれちゃうよだめだからね!」 赤ちゃんが俺になれてしまうと、親ゆっくりがいない間に人里に近づくことを心配しているのだ。 「うーん、明日は止めた方がいいかな。」 「ゆ?」 「明日の天気予報は雨なんだ。」 「だいじょうぶだよ!あさはふらないよ!」 「しかし、もうすぐ赤ちゃんが生まれるれいむが昼までに巣までいけるのかな?」 「ゆぐぅ・・・」 俺はまりさたちがここに一日留まるように雨のことをはなす。 実際に雨が降るのでまりさも困っているのだろう。 「まりさ!まりさ!」 「れいむどうしたの!」 「あかちゃんみてみて!もううごいてるでしょ!」 「ほんとだもうすぐゆっくりだね!」 「うん!あしたにはうまれるよ!」 「ゆゆっ!?じゃああしたはここでゆっくりしようね!」 「うん!あそこならゆっくりうめるよ!」 実を宿したれいむが言うのだから本当なのだろう。明日には赤ん坊が生まれるのだ。 「じゃああとすこしだけここにいさせてね!」 「分かったよ。そのかわり後で赤ちゃんを見に行っていいかな?」 「ゆっ!うまれたあとならいいよ!」 「あといえにはあげれないよ!」 「うん。本当はおいしいものをあげたいんだけどそれもだめだよね?」 「だめだよ!もりでくらせなくなるよ!」 「じゃあ明日はすこし多く野菜屑をあげよう。れいむはゆっくりがんばってね。」 「ゆっくりがんばるよ!」 胸?をはるゆっくりれいむ。赤ちゃんが生まれる姿を見れないのは残念だがしょうがない。 俺はゆっくりをおいて部屋の奥で作業を始めた。 その夜、ゆっくり達が寝静まったのを確認してゆっくりの巣箱に向かう。 餌に睡眠薬を入れていたので朝までぐっすりだろう。始めのうちは警戒していたが今は無警戒だったので楽だった。 巣箱につくと屋根の上の鍵を外して屋根を持ち上げる。 巣の入り口は枝や石で入れないようになっていたが、そんなものは意味がない。 屋根を外すとゆっくり寝ているまりさとれいむが見えた。 朝まで時間がない。急ごう。 俺はれいむを持ち上げ外にだす。 次に実の大きさを測り、2番目に大きいれいむを手に取る。 そして用意していたライターで赤ちゃんゆっくりの底部を焼く。 焼きすぎると動けなくなるので、跳ねれない程度にライターであぶる。 これまで何度もやってきたので感覚でライターをうごかす。 一番大きいれいむ以外を焼くと、まりさのほうも同じように焼く。 これで、一番大きい赤ちゃんまりさとれいむ以外は生まれて来ても跳ねることができないだろう。 焼けた後が見えないように小麦粉で隠し、れいむを元の場所にもどして屋根を置く。 明日が楽しみだ。 赤ちゃんが生まれる日。妙にげんきなまりさとれいむに赤ちゃんが生まれたら教えてほしいと言い、家の中で待つ。 しばらくすると、巣が騒がしい。どうやら全部生まれたようだ。 まりさはまだやってきてないが俺は巣箱に近づく。 巣箱の前まで行くと外にまりさとれいむのこれが漏れていた。 「ゆっくりしていってね!」 「「「「「ゆっくちちていっちぇね!」」」」」 親ゆっくりの声に元気に答える赤ちゃん達。 俺はまりさに呼びかける。 「あかちゃん、生まれたみたいだね。出て来て見せてほしいな。」 「ゆっ!!ちょっとまってね!」 「ん?どうしたんだい?」 「なんでもないよ!ゆっくりまっててね!」 どうやら子供達のことで焦っているようだ。 俺はゆっくり出てこいとまりさを説得する。やがてあきらめたのか、れいむとまりさが出てきた。 「みんなでてきてね!」 「ゆっ!ゆっ!」 れいむのこえに赤ちゃんまりさが一匹と赤ちゃんれいむが一匹巣から出てきた。 元気に親まりさのまわりを跳ねる。 しかし、親まりさとれいむはうかない顔だ。 その原因が巣から出てきた。 「ゆっ!ゆっ!」 小さいまりさと小さいれいむが五匹ずつ、巣から這いずって出てきた。 「おかーしゃんまっちぇ~!」 「ゆっ!ゆっくりはねてね!」 「ゆうううう!できないいいいい!」 5匹は上手く焼けたのかずるずるすべるしかできないようだった。 親まりさとれいむは必死に飛び跳ねさせようと口に咥えて目の位置ぐらいから落とす。 元気な赤ちゃんれいむとまりさはぽよんと地面で跳ね返った。 しかし残りの十匹はべちょっと地面に引っ付く。 「どうしてええええええ!」 「これはいったい!?」 「まりさにもわからないよおおおおおお!」 我慢していたのだろう。泣き出すまりさとれいむ。 この赤ちゃん達は外敵から逃げることも餌を取ることも出来ない。 親ゆっくりもそんな赤ちゃんを養い続けれないので赤ちゃんゆっくりはやがて餓死する。 そんな未来を思い描いてないているのだろう。 「ゆぅ・・・おにーさんありがと。まりさたちはここをでていくね・・・」 「子供達はどうするんだい?」 「がんばってそだてるよ!できるだけがんばるよ・・・」 最後まで元気が続かないれいむ。まりさも子供達を捨てることを考えているのがうかない顔だ。 そこで俺が提案する。 「もしよければ、その10匹預からせてくれないかな?」 「ゆ!でもこの子達は・・・」 「俺なら十分な量の食事を与えれるから。だめかな?」 「ゆぅぅぅぅ・・・」 捨てることを考えてた親ゆっくりにとっては願ってもないことだろう。 ゆっくり理解するのを待ってると 「まりさ、おにーさんにおねがいしようよ!」 「ゆっ!そうだね!おにーさんならだいじょうぶだね!」 信用してくれて何より。 ところで今までの話を子ゆっくりも聞いていたんだけど大丈夫なのだろうか。 「「「おかーちゃんおなかしゅいた~」」」 ・・・どうやら自分のことを話していたとは考えてないようだった。 元気な子ゆっくりはともかく、飛べないゆっくりはもう少し危機感を持つべきだろうに。 まぁその方が話が楽だ。飛べないゆっくりを手にとって手元に集める。 「じゃあ確かに預かったよ。」 「おにーさんまりさとれいむのあかちゃんをおねがいします!」 「あぁ、ちゃんと育てるよ!」 親ゆっくりは安心したのか子供達に餌をやり始める。元気なゆっくりにはもちろん、飛べないゆっくりにも餌を渡そうとする。 「おにーちゃんはやさしいからね!げんきにそだってね!」 「とべるようになったらもどってきてね!」 親ゆっくりはまだ子供達が跳ねれるようになると思ってるのだろう。 もう無理なんだけどね。 まぁ最後になるだろう子ゆっくりとの時間を潰すのはかわいそうなのでそのままにしてあげることにした。 次の日の朝親ゆっくりと元気な子ゆっくりは親ゆっくりの作った巣へと旅立っていった。 俺は残った赤ちゃんゆっくりを用意してあった箱に落とす。 「ゆべっ!」 「ゆぐっ!」 べちゃべちゃと床に引っ付く赤ちゃんゆっくり。 始めはこちらに文句を言ってきたが、しばらく無視しているとこちらを気にせず集まってゆっくりをしだす。 全部がゆっくりしだしたところで話を切り出した。 「それじゃこれから君達を鍛えるよ。最後までついてきたら親ゆっくりの元に帰れるかもね。」 「ゆっ!ゆっくちがんばりゅよ!」 元気よく返事した赤ちゃんゆっくりを確認すると赤ちゃんゆっくりから離れた場所に旗を立てた。 「じゃあ今からこの砂時計が終わるまでにあそこについてね。たどりつけたらおいしいご飯をあげるよ。」 「ごはんごはん!」 「おなかしゅいたー!」 「ご飯はたどり着いてからだよ。それじゃスタート。」 スタートと同時に砂時計をひっくり返す。赤ちゃんゆっくりも同時に旗を目指して動き出した。 跳ねると楽に間に合う距離だったが跳ねれない赤ちゃんゆっくりには遠い距離だ。 必死に這っていく赤ちゃんゆっくり。俺はそれを横から眺める。 「ゆ~!砂しゃんゆっくちちてね!」 「ゆっくちちていっちぇね!」 「ゆっくち!ゆっくち!」 砂にお願いするもの、無言で這う物、声をあげながらがんばってるもの。 赤ちゃんゆっくりはそれぞれ思いつく方法で旗を目指す。 やがて一匹、二匹と旗にたどり着く。差が出るのは途中で休む休まないの違いだ。 今回は最後まで見るためにかなり距離を短くしていたので全匹たどり着くことが出来た。 それでも予想していた時間よりはだいぶ掛かっていたが。 「つかれちゃ~」 「ゆっくちきゅうけいだよ!」 「ゆっくちちていっちぇね!」 さて約束どおりおいしいものを上げよう。 「よくがんばったね!じゃあおいしいものをあげよう。」 「やっちゃね!」 「これれゆっくちできるよ!」 「はやくちてね!」 うれしそうな赤ちゃんゆっくりの下にお菓子を置いていく。 「さぁお食べ。」 「むーしゃ!むーしゃ!・・・しあわちぇええええええ!」 「うっめ!これめっちゃうめ!」 「ゆっくちたべるよ!」 さっきまでの疲れはどこへやら、夢中にお菓子を食べるゆっくり。 やがて食べ終わった赤ちゃんゆっくりは思い思いにゆっくりしだす。 と、言っても跳ねれないので壁に寄り添ってたり、赤ちゃん同士で話すぐらいなのだが。 ゆっくりしだしたのでもう一つルールを教えることにする。 「さてじゃあ次からは食事にも砂時計を使うよ。」 「ゆゆ?」 「この砂時計の砂が落ちる間だけご飯の時間だからね。」 「それじゃゆっくちできないよおおおおー!」 「ご飯を取り上げるだけだからゆっくりはできるよ。それに砂時計ゆっくりしてたでしょ?」 「ゆっくちちてたよ!ごはんだけならゆっくちできるね!」 「でも次の旗も同時に置くからね余りゆっくりしてるとたどり着けなくなるから気をつけてね。」 「わかっちゃよ!」 「じゃあ次を始めるよ!」 そういって今度は先ほどよりすこし遠い距離になるよう旗を置く。 今回は最初と違って赤ちゃんゆっくりは二つに別れた。 旗に向かうものとゆっくりしてるものだ。 先ほどは旗についてからもだいぶ時間があったからゆっくりしてるのだろう。 しかし砂時計はそんな赤ちゃんゆっくりを待たずに砂を落とす。 やがて全部の赤ちゃんゆっくりが旗を目指すが、砂が全部落ちたとき辿りつけていたのは半分だった。 たどりつけてなのはまりさ種の方が多い。這うだけでも身体能力の高さが出るようだ。 それに加えて最初にゆっくりしてたのはれいむ種が多かったのもあるだろう。 「今回は半分になったね。じゃあご飯の時間だよ。」 そういってたどり着いた方には前と同じようにお菓子を、たどり着けなかったほうには野菜屑や近くで取った虫を与える。 「「「むーしゃ!むーしゃ!しあわせ~!」」」 おいしそうにお菓子を貪る赤ちゃんゆっくり。対照的に、 「むーしゃ・・・むーしゃ・・・」 「ゆゆっ!むししゃんうごかないでね!」 「れいみゅもおかしがいいよ!」 こちらは野菜屑や虫の赤ちゃんゆっくり。 親ゆっくりが取ったのを食べたことがあるので食べないことはないが、食べやすいように口渡しだったので動く虫は食べずらそうだ。野菜屑も食べやすい大きさに切ってないのでうまく食べれない。 お菓子を食べてるゆっくりの方に向かおうとしたが透明な壁によって旨そうに食べる赤ちゃんゆっくりを見て涎をたらすしか出来なかった。 そうして食べている頃に砂時計の砂が落ちる。 「はい、時間切れー。次の旗はあそこだよ。」 「ゆ~!まだたべおわっちぇないよ!」 「もっとゆっくちちゃちぇてね!」 「だめだめ。砂はもう全部落ちたよ十分ゆっくりできたよ。」 「おにーしゃん!れいむちゃちにもおかしちょうだい!」 「旗まで辿りつけたらね。辿り着けなかったらさっきみたいな野菜屑と虫だよ!」 「「「ゆ゙ゔううううううううううう!!!」」」 砂時計は砂の量を少なくしていたので短いと感じるのは当然だったが、赤ちゃんゆっくりには砂の量の違いは分からない。 野菜屑はもう嫌なのか先ほど辿り着けなかったゆっくりは我先にと旗へと向かう。 お菓子だった赤ちゃんゆっくりも野菜屑を食べないように旗に向かうが野菜屑だったゆっくりよりはゆっくりしていた。 「ゆっくち!ゆっくち!」 今回の旗はさっきよりはかなり遠くにおいているからしばらく掛かるだろう。 砂の量は増やしたので全匹辿り着けないことはないはず。砂が落ちる頃に見にこよう。 赤ちゃんゆっくりの必死な声を聞きながら俺は部屋を後にした。 「じゃあご飯の時間だよ!」 「むしゃむしゃむしゃ・・・」 旗に向かうってご飯と言うことを3日間繰り返した赤ちゃんゆっくりはもはや喋ることもせずに黙々とご飯を食べる。 一口でも口に含もうと必死なのだ。それは野菜屑と虫の方も変わらない。 この三日間で野菜屑にならなかった赤ちゃんゆっくりはいなくなった。 まだ野菜屑と虫を食べにくそうにしている赤ちゃんゆっくりもいるが、慣れて普通に食べる赤ちゃんゆっくりも出始める。 「はい時間切れ~。次はあそこだよ。」 「ゆ・・・ゆっくちがんばりゅよ・・・」 次の場所を教えると赤ちゃんゆっくりはゆっくりせずに旗に向かう。 お菓子のほうはだいぶ食べられているが野菜屑はまだ残っている。 タイムアップと同時にご飯の時間が始まり、食べる場所は旗の近くなので遅れたゆっくりは食べ始める時間もそれだけ短いのだ。 この3日間で距離と時間はだいぶ延びた。 今では俺と同じ時間に食事をするように砂時計と距離を合わせている。 赤ちゃんゆっくりは朝昼夜と制限時間内に旗に辿り着けるように一度もゆっくりせずに旗を目指し。 夜と朝の長い時間の間にだけ眠ることが出来た。 それもゆっくりしすぎると旗までたどりつけないのでゆっくり眠れない。 野菜屑をあげるのは朝の時間が多く、昼夜は余り野菜屑が必要なくなっていたが、野菜屑なんてそんなに多くでないので好都合だった。 お菓子を食べてる間は幸せそうに思えるだろうが、忙しなく食べていてはおいしさも分からないだろう。 現に今は小麦粉をこねてお菓子に見せたものなのだ。 遅れてご飯を食べれずに衰弱していく赤ちゃんゆっくりも出始めるが、寝ている間に果実の汁をかけてやれば元気になる。 死んでゆっくりさせないようにゆっくりの体調管理には気をつけねば。 赤ちゃんゆっくりを鍛えるようになって1週間、うれしい誤算があった。 赤ちゃんゆっくりが心配になった親ゆっくりが現れて、旗に向かって懸命に這う赤ちゃんゆっくりをみてマツタケを置いていったのだ。 どうやら、ちゃんと育ててくれていると勘違いしたようだ。 もっとも勘違いするように音は届かないようにしているし、近づくと気が散るからと言って遠くから見せたから当然だが。 赤ちゃんゆっくりも必死なので周りに目がいかず、親ゆっくりが来ても気づかなかった。 「どうだい。がんばってるだろう?」 「ゆっ!あかちゃんたちがんばってるよ!」 「そうだろう。みんな君たちに会うためにがんばってるんだ。」 「あかちゃんたちにももってきたものたべさせたいよ!」 「あとで俺がちゃんと食べさせるよ。」 「ゆ~、まりさがちょくせつわたしたいよ!」 「それはだめだね。今は君達に会うためにがんばってるから今あっちゃうと今までの苦労が無駄になっちゃうんだ。」 「ゆゆゆ・・・」 「まだ野生に耐えれないから我慢してね。」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「よし、じゃあこの野菜屑をやろう。こんなものしかないがよければもっていってくれ。」 「おにーさんありがとう!」 それからも親ゆっくりは俺にいろいろなものを持ってきた。 どれも山で取れる珍しいもので、赤ちゃんゆっくりのためにがんばって取ってきたのだろう。 ありがたく全部いただくとする。 赤ちゃんゆっくりは一度もゆっくりさせずに這い回っている。 今は平地だけじゃなく、砂利道や坂など様々な障害を加えている。 今は綱渡りだ。 旗は立方体の箱の上にある。跳ねれればいいのだが跳ねれないゆっくりは崖で止まってしまう。 そこで坂がついた箱を用意し、そこから旗の箱まで綱を引いてやるのだ。 旗に辿り着くには綱を渡らなければならず、綱から落ちたら最初からだ。 これだと辿り着けない赤ちゃんゆっくりは一度も食事を出来ずに衰弱してしまい、果実汁に頼りっぱなしになるが、 親ゆっくりが持ってきているものの中に果物が含まれているので余り負担は増えなかった。 それに赤ちゃんはまったく育ってない。 実は親ゆっくりに遠くから見せていたのは育っていない赤ちゃんを気づかせないためでもあった。 こいつらはゆっくり出来ないと成長も出来ないらしい。 おかげで餌代も増えず、場所もずっと同じでいいので楽だ。ご都合設定バンザイ。 「もっとゆっくちちたいよおおおお!」 「ゆぅ、れいみゅがんばっちぇね!」 「ゆっくちがんばりゅよ!まりしゃもがんびゃろうね!」 相変わらず食事中は声もなく急いで食べるが、ほとんど旗に辿り着けるようになって赤ちゃん達はお互いに助け合うようになった。 協力しないと辿り着けないようなギミックを増やしたせいもあるだろう。 これはどんどん無口になっていく赤ちゃんゆっくり対策だ。 綱を渡るゆっくりをもう渡りきったゆっくりが応援する様子を見ながら、 まだまだ退屈させない赤ちゃんゆっくりのために次はどんなギミックにしようか考えるのはもう日課になっていた。 「おにーさんまりさたちはしばらくこれないよ!」 「ん、そうかもう冬篭りか。」 「そうだよ!あしたにはあなをふさぐんだよ!だからはるまであえないけどあかちゃんをよろしくね!」 「それなら餌が必要だろう。よければもってけ。」 「ゆゆっ!おにーさんありがとう!」 そうかもう冬篭りか、ゆっくりが言うのだからそろそろ雪が降るだろう。 ゆっくりは天候に敏感だ。身の危険と直結してるから当然だろう。 そろそろ虐待の手段に欠いてきたのでここらで赤ちゃんゆっくりをかえしてやるか。 最後の旗とりをさせた次の日、俺は赤ちゃんゆっくりを外に出してやる。 「ゆー!おしょとだー!」 「しゃ、しゃぶいよおおおお!」 「ゆっくちできないいいいいい!」 「あぁ悪い悪い、これを着ればゆっくりできるよ。」 そういってゆっくりを綿で包んで外れないように止めてやる。 「どうだ?まだ寒いか?」 「ゆゆ~!あっちゃかぃ~」 「これなりゃゆっくちできるよ!」 「よし、じゃあゆっくり親の元へお帰り。これまでがんばってきたから野生でもゆっくりできるよ。」 「おにーしゃんありがちょー!」 「巣の場所は教えたとおりだからね。がんばって帰るんだよ。春にはまたおいで。」 「おにーしゃんまちゃね~!」 そういって綿に包まれた赤ちゃんゆっくりは森に入っていった。 今日巣を閉じると言っていたから間に合うだろう。 今までの訓練から野生でゆっくりと生きる赤ちゃんゆっくりを想像しながら俺は雪の降る道を帰っていった。 「おかしいな。あいつらがゆっくりしてる姿が想像できないぜ。」 続く このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/156.html
ゆっくり魔理沙はご満悦だった。 今までお友達のゆっくり霊夢たちと思う存分ゆっくりしていたからだ。 日があるうちはぽかぽかとしたお日様の下で草原を走り回り、蝶々を追いかけばったと一緒に飛び跳ねる。 お腹が空いたら蝶々やばったを食べたり花の蜜を吸ったりした。 夜はゆっくり霊夢たちの巣で、夜通しゆっくりとおしゃべりに興じたり、星を眺めて眠ったりした。 この数日間は、ゆっくり魔理沙にとって本当に幸せな日々だった。 もっとゆっくりできるといいなと思いながら、ゆっくり魔理沙は自分の巣に戻ることにした。 お友達のゆっくり霊夢たちは、もっとゆっくりしてほしそうだったが、たまには別のゆっくりをしたくなるのだ。 「ゆっくりしていってね!」 おおよそ四日ぶりに巣に戻るゆっくり魔理沙。 その巣は落雷で死んだ木の洞だ。 ゆっくり魔理沙一匹には広すぎるが、自分が気に入ったものを並べたりできるから、そこはまさに楽園だった。 巣の周りには緑鮮やかな木々が立ち並んでおり、草も豊富で色とりどりの花々が思い思いに咲き誇っている。 そばには川も流れていて、そこで暮らしている限りゆっくり出来ないことなどないと思える。 大勢でゆっくりするのもいいが、一人でゆっくりするのもまたいい。 ゆっくり魔理沙は久しぶりにするそれに、期待で目をぎらぎらさせながら飛び跳ねていた。 鼻息も荒く、興奮で頬ははちきれんばかりにふくらみ、いつも以上に赤らんでいる。 焼け焦げが目立つ折れた木が見えてきた。 そこには四匹のゆっくり魔理沙たちがいた。群れのようだ。みな微笑みながらゆっくりしている。じつに楽しそうだ。 同種のゆっくり同士には、基本的に縄張りの意識はない。 だから帰ってきたゆっくり魔理沙は元気よくその群れに飛び込み一声あげた。いつもどおりの鳴き声だ。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 次々と聞こえるそれはやまびこのようだった。 帰ってきたゆっくり魔理沙は手近なところにいた中くらいの、と言っても帰ってきたゆっくり魔理沙と同じくらいのゆっくり魔理沙にほお擦りをした。 「ゆぅ~」 「ゆゆゆ」 気持ちよさそうな声をあげて親愛の情を返す中ゆっくり魔理沙。 その様子を微笑ましそうに見ている群れの長だろう大ゆっくり魔理沙。これは帰ってきたゆっくり魔理沙よりも一回り大きい。 明らかに繁殖経験ゆっくりだ。きっと群れの仲間はこれの子供たちなのだろう。 しばらく五匹でゆっくりしていたが、小さな声が聞こえてきた。 「おかーさーん、ゆっくりしようね!」 「しよーしよー!」 「ゆーゆー!」 大きな木の洞から小さなゆっくり魔理沙が三匹でてきた。中ゆっくり魔理沙よりも一回り小さいそれらは、今まで眠っていたのか大きなあくびをしている。 「ゆゆっ!?」 帰ってきたゆっくり魔理沙は戸惑いの声をあげた。 今、小ゆっくり魔理沙たちが出てきた見覚えのある洞は、自分の巣ではないか? そんな疑問を抱いたゆっくり魔理沙をよそに、小ゆっくり魔理沙たちは大ゆっくり魔理沙に頬をこすられて気持ちよさそうにしている。 「ゆゆゆゆっ!?」 いぶかしげな顔をしながら、ゆっくりと巣に近づいて、中の様子を探るゆっくり魔理沙。 「ゆ゛っ!?」 中は酷い有様だった。ゆっくり魔理沙が集めた宝物の鳥の頭蓋骨は粉々に砕かれていてもはや白い残骸だ。 布団代わりに敷き詰めた草は半分以上がむさぼられていたし、後で食べようととっておいた桃はどこにもなく、代わりに食べかけのカボチャがでんと置かれていた。 なかでも一番嫌だったのが、巣の中から自分の臭いがまったくしないのに、それとは違うゆっくりの臭いがしていることだった。 急にゆっくり魔理沙の頭に餡子が上る。 その視線の先には飛び跳ねている小ゆっくり魔理沙の姿があった。 「ゆぅううーーーっ!」 跳躍し、小ゆっくり魔理沙の一匹に体当たりする。 「ゆぎゃっ!!」 吹っ飛ばされ転がる小ゆっくり魔理沙。 続いて他の小ゆっくり魔理沙を弾き飛ばそうとするが、それは出来なかった。中ゆっくり魔理沙が思い切り体当たりしてきたのだ。 「なにするのー!」 「ゆぐっ!」 家族を攻撃されて、こちらも頭に餡子が上った中ゆっくり魔理沙。威嚇なのか「ぷんぷん!」といいながら帽子のリボンをひときわ大きく広げている。 他の中ゆっくり魔理沙も無言でにじりよってくる。 弾かれた小ゆっくり魔理沙は、ほかの小ゆっくり魔理沙たちと一緒に、大ゆっくり魔理沙にすりよって慰められていた。 体勢を立て直したゆっくり魔理沙は、その場で勢いよく飛び跳ねて声高に訴える。 「ゆっゆっ!わるいのはそいつらだよっ!」 「わるくないよっ!まりさたちはいいものだよっ!!」 すぐさま言い返す中ゆっくり魔理沙。リボンはまだ大きい。 言い合いは続く。他の中ゆっくり魔理沙もそれに混じる。 「ゆぅ~、ここはまりさのおうちなのっ!ゆっくりしないでね!」 「なにいってるの?ここはまりさたちのおうちだよ!!!」 「ちーがーうーの~!まりさのおうちなの~~!いいからさっさとでてってね!!」 「いやだよ!ここはまりさたちがゆっくりするおうちだよ!!」 「ちがうもん!ちがうもん!!はやくでてけっ!」 地団太を踏むように小刻みに跳ね続け、顔を真っ赤に染めてゆっくりしないで叫ぶゆっくり魔理沙。 中ゆっくり魔理沙たちは、そんな様子を餡子が腐ったようなものを見る目でみつめている。 「ここはまりさたちがみつけたんだよ!」 「まりさたちのおうちだもん!ゆっくりしないでさっさとどっかいってね!!」 「はやくきえてね!まりさたちはゆっくりするから!」 「「「ばーかばーか!うそつきー!どっかいけ!!かえれー!!!」」」 ゆっくり魔理沙は三匹に立て続けに言われてとうとう怒ったのか思い切り飛び掛った。 「いいからさっさとでてくのーーー!」 体当たりされて転がる中ゆっくり魔理沙。それを見て勝ち誇るように鼻で笑うゆっくり魔理沙。 「なにするのーッ!!!」 「ゆ゛ッ」 同時に重い音とともに潰されるゆっくり魔理沙。大ゆっくり魔理沙が飛び乗ったのだ。 すぐさま中ゆっくり魔理沙のもとへと跳ねよる大ゆっくり魔理沙。だが中ゆっくり魔理沙は大丈夫だと言うように跳ねている。 そのままゆっくり魔理沙へと向かう。 「ゆ~~」 体を起こすと、ゆっくり魔理沙は中ゆっくり魔理沙に囲まれていた。いや中ゆっくり魔理沙だけではない、六匹の群れが全員でゆっくり魔理沙を取り囲んでいるのだ。 ゆっくり見渡したところ、逃げられるような余裕はなかった。とたんにきょろきょろと慌てるゆっくり魔理沙。 「ゆっゆっゆっ?」 なぜ囲まれているのかゆっくり魔理沙には理解できない。自分はただ、自分の巣でゆっくりしたかっただけなのだ。 「ゆー!」 べよん。 小ゆっくり魔理沙が体当たりする。少し痛かったが、すぐにしかえそうとするゆっくり魔理沙。 しかし逆側からも体当たりされる。 「ゆぅっ!!」 そちらを向く。 すると背中に衝撃が。 「ゆぐっ!?」 ほどなくゆっくりリンチが始まった。 大ゆっくり魔理沙がのっかり攻撃し思い切り飛び跳ねる。 まわりで中ゆっくり魔理沙は三方向から勢いよく体当たりをする。 その隙間からは小ゆっくり魔理沙が噛み付いているのが見える。 みんな思い思いの方法で、ゆっくり魔理沙に暴行を加えている。 ゆっくり魔理沙は最初こそ反抗的だったが、ものの数秒もしないうちに号泣し、命乞いの声をあげていた。 しかし群れの攻撃はやむどころか弱まる気配すらない。ぼこぼこぼこぼこといい音がしている。 それに混じる悲鳴や泣き声。なにかが飛び出る音。 「ゆっゆ゛っゆっゆ゛っゆっゆ゛っ!!!」 「いや゛っ!いや゛っ!よじでっ!びゅっ!」 「ぐるぢいよ!だぢでっ!やべでぇっ!!だぢでよおおお!!!」 「どお゛じでごん゛な゛ごどずる゛の゛ぉ゛お゛ぉ゛!?」 「い゛や゛ぁあ゛ぁぁぁ゛ぁ゛ぁあ゛ぁ゛ぁぁぁ」 「も゛う゛や゛め゛て゛ね゛っ゛!」 「い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛」 「ゆ゛っぐり゛じだい゛よ゛ぅ」 「ゆ゛……っぐり゛……ざぜ……でぇ……ぜっぜっ」 「……ッ!……ぅっ!!…………っ」 ぴくぴくと動くゆっくり魔理沙のようなもの。 それは涙と鼻水、よだれや泥で汚れきっており、餡子まみれで帽子もこれ以上ないほどによれて、ところどころに噛み跡が見える。 もはや虫の息でゆっくりとしているゆっくり魔理沙。 「ゆっ!」 仕上げとばかりに大ゆっくり魔理沙はそれに思い切り体当たりをする。 餡子を撒き散らしながら声もなく転げていくそれを追いかける三匹の中ゆっくり魔理沙たち。 それは近くの川岸でゆっくりと止まった。 その様子に明らかに不満顔で膨れていく三匹。顔を見合わせると、何かを決めたように頷く。 「「「ゆぅ~う~うぅ~っ!!!」」」 声を合わせて、三匹は汚れたゆっくり魔理沙を川に投げ入れてやった。 「「「ゆっくりしんでね!」」」 汚れたゆっくり魔理沙が川をゆっくりと流れていく様子を、げらげらげらげらという笑い声が見送っていた。 ぶくぶくと泡をだしながらゆっくりと薄れていく意識の中でゆっくり魔理沙は思った。 こんなことならゆっくり霊夢たちの巣でもっとゆっくりしてればよかった……と。 おわり。 著:Hey!胡乱
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3277.html
※○ちゃん「ぱられるぱられる、もうどうにでもなれ〜」 ※「僕はこうして〜」シリーズの無断クロスです。レイパーさん、ごべんなさい ※いじめは、うん・・・すまない、特にないんだ。正直作者の自己満足の境地です ※登場人物紹介とかはあとがきの後に記載しています 「おねーさん!すいか、ゆっくりにんげんさんにあいたいよ!」 きっかけは我が家で飼っている珍種ゆっくり、ゆっくりすいかのそんな一言。 ゆっくり人間とはすいか曰く、人間とゆっくりの間に生まれたナマモノで外見は人間と変わらないらしい。 が、身体の成分が一部ゆっくりのそれに類似しており、またゆっくりにエライ勢いで好かれるそうだ。 すいかはこんな馬鹿げた都市伝説をどこからか、恐らくテレビ辺りで仕入れ、なおかつその実在を見事に信じきっているらしい。 そんな生物学者がまた何人か発狂しそうなナマモノがいるはずも無いと言うのに、連日連夜会いたい会いたいと喚き続けるすいか。 私はずっと「居ないものとは会えない」の一点張りで押し通してきたのだが、結局彼女の執念に負けしてしまった。 「そんないきさつでれいむたちはゆっくりにんげんさんをさがしにおでかけをしているんだよ!」 「きょうはどんなゆっくりしたことがおきるのかな?!」 「ゆっくりにんげんさん・・・ゆっくりにんげんさん・・・ゆっくりしていってね!」 「アンタら、誰にナレーションしてる?」 左右の肩にれいむとまりさ、頭上にすいかという傍目には私こそゆっくり人間だろうと言わざる得ないような出で立ち。 それ以外はジーンズ、Tシャツ、白のコート、メガネと至ってシンプルなのだが人の顔の周りで騒ぐこいつらのせいで道行く人々の注目を意味も無く集めていた。 これが私の美貌のなせる業・・・であればどれだけ優越感に浸れただろうか。 しかし、現実というのは残酷なもの。 他の女性を圧倒しているものは胸くらいの私にそこまでの魅力はなく、行き交う人々の視線は私の顔の周りでゆんゆん歌っているゆっくり達に向けられている。 地元ならまだしも、見ず知らずの土地へ向かう電車の中では「何、あのゆっくり馬鹿」と言わんばかりの好奇の眼差しが少し痛かった。 「ということで、れいむたちはゆっくりにんげんさんのまちについたよ!」 「ゆっくりにんげんさんはみつかるかな?!」 「ゆっくりにんげんさん・・・すいかといっしょにゆっくりしようね〜〜〜〜〜!!!」 目的の駅に到着した時、また誰かに向けてナレーションをし始める我が家のゆっくりども。 近くに座っていた中学生のグループがクスクスと笑うのを一瞥し、電車を降りると、階段を駆け下りて、改札を後にする。 余談だが、すいかのおかげで無料で乗車できた。理由は言わずもがな。 この無意味にピンポイントなサービスは一体誰が得をするんだろうか・・・心の中でそう突っ込んだ直後に、自分が得をしていることに気付いた。 ゆっくり人間を探して訪れた街は一見すると何の変哲もない普通の街だった。 強いて特徴を挙げるとすればゆっくりが比較的浸透していて、飼いゆっくりや野良ゆっくりが平然と人々の隙間を縫うようにして通りを行き来しているくらい。 そのあまりの平凡さを訝しく思ったれいむは「ほんとうにここにいるの?」と首をかしげていたが、私がこの街を訪れたのには理由があった。 「ねえ、おねーさん?」 「んあ?」 「ほんとうにゆっくりにんげんさんはここにいるの?ゆっくりしたふつうのまちだよ?」 「ああ、多分ね」 この街にゆっくり人間がいると思った理由は至って単純。 私が勤めているゆっくりショップのバイト仲間にゆっくり人間について尋ねてみたところ、この街の名前が挙がったからである。 彼が適当なことを言っていたり、間違っている可能性もあるのだが、話を聞いた後に調べてみたらこの街には“ミスターゆんちぇいん”がいることが判明した。 「みすたーゆんちぇんってなあに?」 そう言って首をかしげたのはまりさ。 すいかもれいむも言葉の意味が理解できずに首をかしげている。 そんな訳で、私は彼女らに、私自身最近知ったその言葉の意味を説明してやった。 「ミスターゆんちぇいんって言うのは・・・ゆっくり関係で凄すぎる記録を残したせいでゆっくりカンパニーの人工衛星で常時監視されている人のことだよ」 もっとも、一介のアルバイトに過ぎない私では流石にその監視衛星の映像を見ることは出来ないし、眉唾もいいところではあるが。 「ゆゆっ!じゃあ、ゆんちぇいんさんはすごくゆっくりしてるんだね!れいむゆんちぇいんさんにあいたいよ!」 「まりさも!まりさも!」 ついでに彼らが時速5km以上で移動するとバッジに取り付けられた迷子防止用のGPSの座標が70mずれることも付け加えておいた。 すると、まだ何が凄いのかは一言も言っていないのにれいむ達は何か凄そうな人がいると聞いて大はしゃぎ。 そんな3匹の様子を見て、何が凄いのかを教えてあげた。 「ちなみにここのゆんちぇいんはゆっくりレイプギネス記録保持者ね」 「「「ゆげぇ!」」」 それじゃゆっくり出来ないよと言わんばかりの表情になった3匹は「かえろうよー!」などと言い出した。 が、「ゆっくり人間を探すんだろう?」の一言ですいかが立ち直り、れいむとまりさも巻き添えを食う格好ゆっくり人間捜索に参加させられる。 「にんげんさんのすっきりごわいよおおおお!」と泣き喚くれいむとまりさはなかなかに可愛かった。 そんなつまらないやり取りから数時間後。 何故か観光スポット巡りに興じてしまった私たちはゆっくり人間のことをすっかり失念していた。 気がつけば陽が沈み、弁当を買って立ち寄った公園には殆ど人影が見当たらない。 そんな静寂の中、ようやく見つけた私以外の人間は・・・ 「・・・・・・うへぇ」 「おねーさん!ここはゆっくりできないよ!」 「ゆっくりしないでにげようね!」 長身の、ガタイの良い黒人の男性だった。 勿論、それだけならば驚くほどのことでもない。 問題は彼の、一糸纏わぬ生まれたままの姿にあった。 変態?危険人物?・・・普通に考えたら貞操の危機を感じるべきところなのだろう。 が・・・・・・ 「オー、ヤッパリタマニハゲンテンニカエッテオーソドックモイイモノデス」 「やべでえええええ!でいぶずっぎぢぢだぐないいいいいい!?」 「HAHAHAHAHA!」 その黒人男性はどうやらHENTAIお兄さん、もしくはゆっくりレイパーらしい。 HENTAIお兄さん・・・ゆっくりを性の捌け口にする異常性癖の持ち主の総称である。 流石に飼いゆっくりに手を出すようなことは稀だが、野良ゆっくりにとっては虐待愛好家に次ぐ脅威。 勿論、現物を、そして現場を目撃するのは私も初めてのことだった。 「・・・・・・そういえば」 流石にこの光景を平然と直視することは出来ないが、相手がゆっくりならとやかく言う事もないだろう。 そう思った私は、店の先輩から聞いた「レイパー同士は惹かれあう」という言葉を信じて彼にギネス記録保持者の居場所を聞くことにした。 彼がゆっくりれいむを犯している茂みから少し離れたベンチに腰掛け、そこにれいむとまりさとすいかを下ろす。 「ゆゆっ、にんげんさんまたきたの!まりさのはにーをいじめないでね!?」 「「「やめちぇね!ゆっくちできにゃいよ!」」」 「ワオ、マリサニコドモタチモヤッテキマシタ」 「ゆぎぃ!?やめてね!にんげんさんのすっきりはこわいよ!ゆっくりできないよ!」 どうやらつがいを助けに来たまりさやその子ども達を相手に第2ラウンドに突入したらしい。 流石にあれだけの数を相手するとなると長くなりそうなので、彼らの嬌声や悲鳴をBGMにして弁当を広げる。 我が家のれいむ達が「ゆっくりできないいいい!」と喚くのをでこピンで黙らせ、昼ごはんを食べ忘れたため8時間ぶりになる食事にありついた。 「むーしゃむーしゃ・・・幸せ〜」 「ず、ずっぎぢー!」 「もっちょ・・・ゆっくちちたかっちゃよ・・・」 「フゥ・・・スッキリー」 私が鮭弁当のチープな美味さを満喫し終えた時、ちょうど男性もゆっくりを満喫し終えた。 傍らでは我が家のゆっくり達が同胞を助けてあげられなかったことを悔やんで「ごべんねぇ!」と謝り続けていた。 いや、あの手つきと技術を見る限り殺さないように加減してるよ・・・そうフォローしようとした時、レイパーの男性が、ちゃんと服を着て茂みから姿を現した。 「イヤァ、オミグルシイモノヲ」 「ん、ああ・・・お構いなく。こちらこそ、お楽しみの邪魔をして申し訳ない」 ファミレスの椅子に腰掛けたままの私とドリンクバーの安物のコーヒー越しに視線が合った男性は頭をかきながら照れ笑いを浮かべている。 レイパーとは言え性癖以外は他の人と変わらないわけで、黒い肌とは対照的な白い歯を輝かせている彼はなかなかの好青年のように思えた。 彼に会釈しながら、れいむとまりさとすいかを抱きかかえて立ち上がり、必要も無いのに軽く自己紹介を済ませた。 「ボブさん、だったっけ?」 「ハイ、ナンデショウ?」 「あれ、趣味なの?」 「イエス、ワタシユックリダイスキデス!」 「ゆゆっ!だったらひどいことしないでね!ゆっくりできないよ!」 「そうだよ!ゆっくりさせてあげてね!」 満面の笑みを浮かべてサムズアップするボブに対して怒り心頭のれいむ達。 しかし、ファミレスで騒ぐと迷惑になるし、それに大声で話すようなことでもないので頭をはたいて黙らせた。 その後も3匹は頬を膨らませて抗議していたが、大声で叫ぶようなことはなかった。 「シツケガジョウズデスネ」 「特別なことをしているつもりはないんだけどね」 「ソレニシンライサレテイマス」 「全く嬉しくないけどね」 「ナニヨリスゴクカワイイ」 「1回50ドルで貸してあげても良いけどね」 そんな具合で、すぐにボブと打ち解けた私は早速彼にゆっくり人間について尋ねてみる。 しかし、帰って来た言葉は「ウワサクライハシッテイル」という非常に曖昧なものだった。 その回答に目に見えて落胆するすいかの頭を撫でながら、私はもう一つの質問をぶつけてみた。 「じゃあ、ここら辺で一番実力のあるゆっくりレイパーって知ってる?」 「レイパーハプライバシーヲマモリマス」 「・・・そりゃそうか」 多少親しくなったとは言え所詮は見ず知らずの相手。 もしかしたらレイパー撲滅を狙う組織の人間かもしれないし、そうでなくても金目当てで情報を売る可能性だってある。 最近もどこかでゆっくりレイパーの会合をアンチレイプの組織が襲撃しようとしたなんて話を聞いた気がする。 いや、そもそも世間に公表できるような性癖でないのだから、容易に口外できるものではないのだ。 「仕方ないか・・・今日は安いカプセルホテルにでも泊まって、明日また探そう」 本日の捜索を諦め、ボブに適当なホテルの場所を教えてもらった私は、会計の全てを彼に託してそそくさとファミレスを後にした。 『地球がゆっくりする日』や『Yull E』の話題で盛り上がった手前、少し気が引けたがホテル代を捻出するためだから仕方ない。 結局ゆっくり人間は見つからなかったが、ボブに遭遇したことで色んな情報を得ることが出来た。 彼の日本語の習得状況を鑑みるに、来日して何年も経っているようには思えない。 にもかかわらず、近くのファミレスやカプセルホテルの場所を知っていた。 それにあの公園でレイプされていたまりさは「にんげんさんまたきたの!まりさのはにーをいじめないでね!?」と言っていた。 つまり、あそこの公園のゆっくりは頻繁に人間からの干渉を受けていると考えられる。 確証はないが、明日はあの公園に張り込むのが最善策だろう。 翌朝、まだ陽も出ていない時間から私とれいむ、まりさ、すいかは例の公園での張り込みを開始。 懐中電灯片手に公園の中を散策すると、いとも簡単に野良ゆっくりの巣をいくつも見つけることが出来た。 まだ人間の姿は見当たらないが、そこには朝ごはんと称して人間の捨てたごみを集めて回るゆっくり達の姿があった。 余談ではあるが、その中に昨日レイプされたれいむ一家の姿もあった。予想通り、全員健在のまま。 「もうすぐにんげんさんのくるじかんだよ!」 「ゆっくりおうちにかえるよ!」 「「そろーり、そろーり・・・!」」 散らかしたゴミが巣まで一列に並んでいるのだが、どうやら彼女達はそのことに気付いていなかった。 あるものは子ども達を引率してゴミ置き場で拾った生ゴミを溜めて帰り、またある赤まりさはお菓子の袋を持って帰っていった。 そんな光景を尻目に私たちも彼女達と同じように適当な茂みに身を隠して、人間が来るのをじっと待つことにした。 「ぱちゅりーは本当に馬鹿ね」 「んぶぅ〜!」 「むきゅ〜、も言えないなんて伝説的だわ」 「ん〜、んん〜!?」 数分後、割りと珍しい胴付きぱちゅりぃを連れた少女が公園に姿を現した。 一見すると勝気そうで、なおかつ真面目そうな少女とお馬鹿で有名なぱちゅりぃというのは違和感を覚える組み合わせである。 しかし、よくよく見てみるとぱちゅりぃは猿轡と首輪を装備済み。 ああ、あの子もそっちの世界の住人なのか・・・と納得しながら、彼女を観察し続ける。 「さあ、ぱちゅりぃ。ゆっくりを連れてきなさい」 「んぶぅ〜・・・」 ぱちゅりぃはきょろきょろと辺りを見回し、においを嗅ぐような仕草をしながらふらふらと歩き始めた。 一方、少女は首輪のリードを握ったままぱちゅりぃの後を追いかける。 そして、必死の形相でゆっくりを探し回っていたぱちゅりぃがようやく見つけたゆっくりは・・・ 「んぶぅぅぅぅぅぅううぅぅぅ!!」 「ぱちゅりぃをゆっくりさせてあげてね!」 「ぱちゅりぃをゆっくりさせてくれないおねえさんがきらいだよ!ぷんぷん!」 「すいかおこるよ!ぷくぅぅぅうううう!」 「う゛・・・」 私と一緒に茂みに隠れていた我が家のゆっくりども。 目が合ったときの彼女のばつの悪そうな表情はなんとなく可愛らしかった。 「ふぅん・・・で、たまにここに来てゆっくりを虐待しているわけね」 「・・・はい」 ベンチに腰掛け、ホットコーヒーで暖を取る私と少女。 彼女はまるでポエムを書き溜めたノートを拾ってくれたが、不可抗力で中身を見てしまった親切な人を前にしたときのような表情を浮かべている。 これが知人であればしこたまからかってやるところなのだが、流石に見ず知らずの少女相手にそんなことはしない・・・はず。 せいぜい必死に弁明する彼女の表情をにやにやと笑いながら眺めつつ、私の膝の上でいまだに膨れているれいむ達の頭を撫でる程度。 「ゆっくりできないいいわけはやめてね!」 「そうだよ!ぱちゅりぃをゆっくりさせてあげてね!」 「そうだよ!ぷんぷん!」 我が家のゆっくりどもは同族の虐待風景なんか目の当たりにして黙っていられるような連中ではない。 こっぱずかしそうにしている彼女に向かってもっともな文句を口にする。 が、流石に早朝のまだ辺りも暗い時間に大声で喚かれては近所迷惑もいいところ。 「だからアンタら五月蝿いよ。頭を少しかじってやろうか?」 「「「ゆっ・・・!」」」 「・・・・・・愛でお姉さん、じゃないんですか?」 「じゃないんです、断じて」 できるだけ柔和に微笑みながら、言われたとおりに膝の上で黙っているれいむの額にでこピンをお見舞いする。 「なんだぁ・・・だったら、必死になって言い訳する必要なんてなかったのね・・・」 「Exactly」 ついでにもう一発、今度はまりさにでこピンをお見舞いするのを見た彼女は盛大にため息を吐いた。 「そもそも・・・仮に私が愛でお姉さんでも首輪や猿轡くらいは飼い主としての責任の範囲内だから責める理由がないし」 「・・・え?」 「それにまだ虐待らしい虐待の現場は目撃していなかったわけよ」 「それじゃ・・・」 ようやく状況を把握したらしく、赤くなった顔を両手で隠す少女。 そして、にんまりと意地の悪い笑みを浮かべつつ、彼女の肩を優しく叩く私。 「そ、完全に、一部の隙もなく、貴女の自滅」 耳まで真っ赤になるのが手に取るように把握できた。 「と、まあ、そんなことは置いといて・・・」 「・・・・・・・・・・・・」 指の隙間から見えるジト目に篭った殺気を感じた私は意地の悪い笑顔はそのままに話題を強引に切り替えた。 すると、彼女も顔を覆っていた手を膝の上に戻し、いつの間にか温くなってしまった缶コーヒーのプルトップに指をかける。 ようやく陽が昇り始め、徐々に明るくなってきた公園にぱちんっ!という軽快な音が響き渡った。 「一つ聞きたいことがあるんだけどいいかな?」 「なんですか?」 「ゆっくり人間って知ってる?」 その言葉を聞くや否や露骨に怪訝な表情になる少女。 私だってそんな質問されたら同じような顔をしただろうからその気持ちはよく分かる。 というか、私だってすいかの与太話でその存在を知っただけだから半信半疑だ。 「そんなの訳の分からないもの知りません」 「だよねぇ・・・」 私は彼女の言葉に首肯した。 続いてレイパーに関する質問もしようかと考えたが、流石にカタギにする質問じゃないのでやめた。 立ち上がり、リードを握られたままのぱちゅりぃを指差す。 「こんなの人目にさらすのも体裁が悪いから、そろそろお開きしようか?」 そんなこんなで、挨拶もそこそこに彼女と別れた。 「いや、そんな都市伝説聞いたこともないよ」 「ゆっくりにんげんさん?れみりゃのことなのぜ?」 「強いて言うなら君が一番そんな感じだよ」 「ち〜んっぽ!びっくまらぺにすっ!」 「JAOOOOO!JAO!JAO!JAOOOOOOOON!」 「そんなことよりれいむのおうたをきいていってね!」 少女と別れた私たちは、公園に住むゆっくりや散歩中の人達にしらみつぶしに話しかけてみるが全く成果が得られない。 ゆっくり人間の事を訊けば怪訝な顔をされるし、ギネスレイパーのことを訊いても人間なら顔をしかめ、ゆっくりなら怯えるばかり。 代わりに得た情報と言えば以前この公園のゆっくり達を二分していた対立と、両勢力の共通の敵となることでその対立を鎮めたレイパーのこと。 そして、人間に虐められているのを助けてくれたゆっくりふらんを連れたとてもゆっくり出来るゆっくりのこと。 もしくは時々この公園に出没するゆっくりふらんを連れた少年のこと。 「う〜ん・・・やっぱり情報が集まらないな・・・」 「れいむ、もうつかれたよぉ〜」 「まりさもだよ〜・・・」 「ゆゆっ!でも、ゆっくりにんげんさんはこのまちにいるんだよ!」 元々半信半疑だった私とどうしてもゆっくり人間に会いたいわけではないれいむとまりさは半ば諦めモード。 対して、どうしてもゆっくり人間に会いたいすいかは私の頭の上から檄を飛ばす。 が、疲れていることもあって私やれいむ達の反応は鈍い。 「きっとアンタの妄想だよ・・・」 「れいむ、なんだかねむいよ・・・」 「まりさも・・・」 朝から歩き詰めでいい加減飽きてきた私はれいむ達と一緒にうつらうつらと舟を漕ぎ始める。 そんな私を起こすためにすいかは膝の上に飛び降り、お腹に何度も体当たりを仕掛けてくるが、何故か余計に眠くなってきた。 そうして、れいむとまりさが本格的に眠ってしまったその時・・・ 「どうも・・・清く正しく、きめぇ丸です」 「んあ?」 風と共に、どこからともなく姿を現したのはスレンダーなボディの上に乗っかった下膨れの顔をニヒルに歪めた鬱陶しい饅獣。 きめぇ丸・・・かなり貴重なゆっくりの一種で、胴無しのものは知人が飼っているので何度か見たことがあるが、胴体付きを見るのはこれが初めて。 睡魔と戦っていたこともあって、私は彼女がゆっくりであることを理解するのに3秒程度の時間を要した。 「あなた達ですか、ゆっくり人間を探していると言うのは?」 「ん、まあ・・・一応」 「ゆっくり人間は見つかりましたか?」 きめぇ丸はニヒルな笑顔を一層ニヒルに歪める。 「いや、ヒントすらもつかめない状況」 「そうですか」 私の返答と、今までの聞き込みで得た情報を聞いた彼女はブンブンと高速で首を振った。 そのあまりのゆっくり出来なさ加減にすいかがすっごい表情で怯えているが、まあ気にすることでもないだろう。 「で、アンタは何のために話しかけてきたの?」 「みょんやめーりんと話せる人間が居ると聞いたので、少し興味が湧きまして。本当なのですか?」 「あー・・・本当だよ。なんか知らんけど言葉が分かる」 「おお、すごいすごい」 またしても高速シェイクするきめぇ丸。 少々鬱陶しいが、何らかの悪意があって話しかけてきたわけでもなさそうなので我慢する。 「ところで・・・」 「んあ?」 「ヒントすら掴めていないと言いましたが多分それは間違いです」 そう言って彼女は自信満々に微笑んでみせる。 パッと見、先ほどと変わらぬニヒルスマイルだがその笑顔に宿る感情が微妙に違うのに気付いた。 「あなたがいくら特殊なゆっくりと話せたところで人間以外の何者でもありません」 「そりゃそうだ」 「だから私の目にも人間の目にもあなたがゆっくりとして映ることはないでしょう」 「当たり前・・・あれ?」 ここまで言われてようやく、私は彼女の言葉の意図を理解した。 みょんやめーりんと会話できたところで私は人間だから誰の目にも人間としてしか映らない。 どんなに知能が高くてもきめぇ丸はよほど寝ぼけていない限りは人間と見間違えることはない。 なら、ゆっくりと人間のハーフなるものが居たらそれはどのように映るのだろうか? 「ああ、そうか・・・」 相変わらずニヒルな下膨れ顔を左右に振るきめぇ丸から視線を外し、俯いて考える。 もし、ゆっくり人間が人間の目には人間として、ゆっくりの目にはゆっくりとして映るのであれば、私たちは既に大きなヒントを得ている。 勿論、どちらの目にも同じように映る可能性はあるが、そうなってしまうと肉眼に頼る手段では判別不可能だから私たちにはお手上げだ。 「ふらんを連れたゆっくり・・・か」 もし、ふらんを連れたゆっくりがれいむ、まりさ、ぱちゅりー、ありすなどのメジャーな種族であれば彼女達は必ず種族名も教えてくれるはず。 ましてや、ふらんを連れているのにゆっくりしているというのはどこかおかしいように思えた。 その上、ゆっくりふらん自体が既に貴重な種族で、めったにお目にかかれるようなゆっくりではないのだ。 「なのに、この公園にはふらんを伴う人(orゆっくり)が二人もいる・・・」 きめぇ丸のもったいぶった言葉に意味があるならば、この両者は同一人物なのではないだろうか? からかわれている可能性もあるが、他に頼りに出来る情報がない以上、信じるしかあるまい。 なら、私たちがすべきことは一つ。 「ふらんと飼い主を、それも私の目には人間に見えて、すいか達の目にはゆっくりに見える人を探せばい・・・あれ?」 すべきことを理解した私が顔を上げた時、きめぇ丸もとい敬意を表してきめ子さんと呼ばせていただこう、の姿はなくなっていた。 それからはとんとん拍子で事態が進んでいった。 ふらんの飼い主が地元の中学生だか高校生だかの少年であることが判明し、すぐにその少年の学校も割り出すことが出来た。 「むにゃ・・・そんなわけで、れいむたちはぎわくのゆっくりゆっくりふらんがおさんぽしているのをみつけたよ!」 「ふにゃ・・・これでゆっくりにんげんさんにあえるかな?」 「ゆっくりにんげんさん・・・すいかといっしょにゆっくりしようね!」 と、れいむ達の説明の通り、現在私たちは通りで見かけたゆっくりふらんを尾行していた。 念のため買っておいたサングラスを装着し(もちろんれいむ達も)、電柱の影から彼女を見守る。 「・・・・・・あのー?」 「ゆゆっ!いまとりこみちゅうだよ!」 「ゆっくりあとにしてね!」 若い男の声を聞き流しつつ、私たちはふらん監視を続行する。 「・・・いや、取り込み中じゃないだろ」 「もう、おにーさん、れいむたちとりこみ・・・ゆゆっ!!?」 「どうしたのれい・・・ゆゆゆゆっ!!!」 「んあ?どうした?」 振り返ると、そこにいたのは地元の学生と思しき少年。 一見するとこれと言って変わったところはないのだが、彼の姿を見たれいむ達は目をハートマークにして見惚れている。 確かにパッと見はごく普通の少年なのだが、どこか違和感を覚える。そして・・・ 「「すごくゆっくりしたおにーさんだよ!」」 れいむ達の発したその一言で、彼こそ探していたゆっくり人間であることを理解した。 同時に、彼の訝しげな視線を見て、自分がかなり不審であることを把握した。 もしかしたら「ゆっくりフェロモンで一儲けしようとした企業が、彼を拉致って精液を搾り取ろうと送り込んできた刺客」だなんて誤解をされているかも知れない。 何故か知らないがそんな懸念を抱いた私は彼の警戒心を解く為に、出来るだけにこやかな笑みを浮かべて挨拶をした。 「こ・・・こんばんは、ゆっくりしていってね」 ‐‐‐あとがき‐‐‐ 確かな文章力と優れた構成力に裏打ちされたレイパー氏の作品の中でもこの作品は特に魅力的だと思うんですよ その理由を考えてみると、この世界の人たちって日常を何となく想像できてしまうくらい存在感があるからじゃないかと 猫被って?瀟洒に振舞っている委員長とか、HENTAI要素を隠しきれていないボブとか もっとも、想像は出来たところで、真偽を知る術はレイパー氏に聞くしかないわけだし、あらゆる面で氏にかなわない以上、レイプになってしまうのは否めないわけですが ほんと、レイパーさん、ごべんなさい byゆっくりボールマン 【登場人物紹介】 お姉さん 初登場は『ゆっくりいじめ系749 現代ゆっくり』 ノリと勢いでゆっくりを10匹も飼う事になってしまった一人暮らしの女子大生 恐るべき酒豪で、お胸がドス級。ゆっくりに対してはかなりハイスペック みょん語等を解し、天性の飼育上手で、好かれ易いが生物学的には平凡な人間 口も性格もあまり良くないし、わりと容赦しないタイプなのに何故か懐かれる れいむ&まりさ 初登場は『ゆっくりいじめ系749 現代ゆっくり』 今作ではいらない子。若干頭が良い程度の平凡なゆっくりで六児の親 ただし、れいむはゆっくりながらもインターネッツを使いこなせたりする すいか 初登場は『ゆっくりすいか系いじめ1 ゆっくりすいか』 角にお酒が詰まっている。空気を吸い込むと半端なく膨らむ(曰くみっしんぐぱわー) かなりのテレビっ子で、ワイドショーやくだらない都市伝説が大好き みすたーゆんちぇいん 初登場は『その他 僕はこうして生まれました』 会社員。課長クラス。ゆめぇ丸を妊娠させた経験がある ゆっくりレイプに関しては右に出るものがいないが、世間的には真人間で通っている ボブ 初登場は『ゆっくりいじめ系1632 ボブはこうして出会いました』 スラム育ちの巨漢の黒人男性。ゆっくりが大好物(二つの意味で)の変態 注:日本において単独でレイプを行うかどうかは微妙なところです 少女 初登場は『ゆっくりいじめ系1682 僕はこうして出会いました』 学校では成績はトップ、真面目で明るく、誰の相談にも乗る優しい素敵な委員長 しかし、優等生にも色々あるらしく、ゆっくりに八つ当たりすることがあるとかないとか 注:ぱちゅりぃに対する虐待?は『僕はこうして出会いました』の記述と矛盾します ぱちゅりぃ 初登場は『その他 僕はこうして生まれました』 胴体付きのゆっくりぱちゅりー。この種族の例に漏れずお馬鹿である 一時はみすたーゆんちぇいんの愛人だったこともあるが、現在は少女のペット きめぇ丸 初登場は『その他 僕はこうして生まれました』 人間との間に子どもをもうけた前代未聞のゆっくり。彼女もまたド変態 注:考えてみりゃ彼女がお姉さんに助言する動機は微塵もありません ゆっくりふらん 初登場は『その他 僕はこうして生まれました』 ゆっくり人間のペットと誤解されているが、実際にはゆっくり人間の恋ゆっくり 注:レイパー氏の作品世界においてゆっくりが単独で散歩するかどうかはわかりません ゆっくり人間 初登場は『その他 僕はこうして生まれました』 学生。思春期まっさかりの少年。実はゆっくりと人間のハーフだったりする ゆっくりに対してはかなりハイスペックな性能を有する
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/2814.html
『大人のゆっくり』 13KB 小ネタ 調理 番い 野良ゆ 姉妹 赤ゆ 子ゆ 現代 独自設定 ふたばのネタから思いつきました。酒の知識があまりないので、矛盾点が多いかもです。 この世界のゆっくりは、種類を問わず、甘い液体ならば傷が回復してしまう設定です。 筆者はお酒についての知識は余りありません。色々矛盾点があったらすいません。 ゆっくりが濁った液体の中で他のゆっくりが見えたり、会話する事ができるのは、ゆっくりだからという事で…… ここは、とある自然豊かな田舎町の農村。ブドウの産地として全国的に有名であり、殆 どの人々はその栽培、加工で生計を立てている。 そんな人間によって楽園のような場所、そんな場所は”ある生物”にとっても楽園であ ると言える。”ある生物”とは、ご存知ゆっくりである。 ゆっくり達にとって、この村と、その付近は天国だった。天敵になる動物や捕食種は多 少なりとも生息していたが、何と言っても食料に困ることが無かったからである。緑が多 いこの地では、春や夏には木の実や野苺等が豊富であり、秋になればたっくさんのきのこ が採れる。唯一、ゆっくり達の不満は、人間が作っているブドウが食べられない事ぐらい であった。 ゆっくりは小さく、手足を持っていないために、高い所に実っているブドウは食べるこ とができないのだ。木の実は自然に落ちた物を食べることができるが、ブドウが落ちてい ることは殆ど無いのである。しかし、実はこれはゆっくり達にとって幸運だったのだ。も し、ゆっくりが高いところのブドウを取ることができたら、間違いなく人間によって周辺 のゆっくりは大規模な駆除を受けていただろう。この地域の農家は九十五パーセントがブ ドウ栽培をしているので、実害が余り無いゆっくりに対しての対応が、実に甘かったので ある。 「ゆっ! れいむ、まりさのかわいいおちびちゃんたち、きょうはあたらしいおうちを ゆっくりさがしにいくよ!」 「「ゆっくちりきゃいしちゃよ!!!」」 「ゆーん! おちびちゃんたちはとってもききわけのいい、とってもゆっくりとしたよ いこだね!」 こんなテンプレのような会話を繰り広げているのは、とあるゆっくりの番であるれいむ とまりさと、そのおちびちゃん達のれいみゅとまりちゃである。現在住んでいる巣が、れ いみゅとまりちゃが産まれた事によって狭くなったので、もっと広いお家へと引越しを行 おうとしているようだ。 「ゆぅ~ん……おちびちゃんたちも、とおくへはねていけるぐらいに、あんよがつよく なったよぉ……」 「まりさぁ……れいむとまりさはとぉーってもしあわせだね……こんなにかわいいおち びちゃんたちと、これからもずーっとくらせるんだから……」 そう言って、れいむとまりさはすーりすりを始める。そこに、れいみゅとまりちゃも加 わって、家族ですーりすりをする。野生のゆっくりの中でも、この家族はとても幸せな部 類に入ると思われる。そう、この時までは…… ――数時間後 「ゆーん。これはりっぱなおうちだよ! ここをまりさたちのおうちにしようよ!」 「だめだよまりさ。ここは、ゆっくりできないにんげんさんのおうちだよ! ゆっくり できなくされちゃうかもしれないよ!」 「だいじょうぶだよ、れいむ。なかをそろーり、そろーりとのぞいたけど、にんげんさ んはいなかったよ! ここはあきやさんなんだよ!」 「ゆゆっ! それならだいじょうぶだね!」 「「ゆわ~い!!! ここがあらたしいおうちなんだにぇー!!!」」 一家がやって来たのは、とある人間が所有する物置である。一家が中に入ると、一家が 入っても、まだまだ余裕があると思われる円筒状の入れ物が、幾つか並んでいる。 「ゆっ! あそこのたおれたつつさんに、ゆっくりはいれそうだよ! れいむ、おちび ちゃんたち、ゆっくりあそこにはいろうね!」 「「「ゆっくり(ち)りかい(りきゃい)したよ(しちゃよ)!!!」」」 人間もゆっくりも、必要以上に広い家は、逆に居心地が悪いと感じる物である。この円 筒状の入れ物のお家は、ゆっくり達にとって丁度良い広さで、とてもゆっくりできるよう である。 ゆっくり家族は入れ物の中で、のーびのーびしたり、ごーろごーろをして、一通りゆっ くりした後、早速お家をもっと住みやすくするためのリフォームを行う事に決めたようで ある。 「れいむ、おちびちゃんたち、まりさはおうちをりふぉーむするためのざいりょうさん をさがしてくるよ! ゆっくりここでまっててね!」 まりさは、そう宣言し、外へリフォームの為の材料を探しに行こうと飛び出そうとする のだが…… 「あー、よっこらしょっと!」 人間によって、その行動を阻まれたのであった。 「ゆっくりぃの日ィィィィィェァ! まったりぃの日ィィィィェェァァァァンッ! や っぱり音楽はロックだぜぃ! オーイエー!」 人間はヘッドホンで大音量で音楽を聞きながら、自身もその歌を大音量で口ずさんでい る。口ずさんでいると言うよりは、叫んでいると言ったほうが正しいが…… この物置は、とある農家がワイン造りのために使用している。この物置を所有している 農家は、自分の畑でブドウを生産する傍ら、生産した内の一部のブドウを、自宅の物置を 使ってワインにしているのだ。 ちなみにこの男は、農家の息子である。都会へ出たいが、一人息子の為、この村に残っ て家を継がなければならないのである。そのような事情から、農業にも、ワイン醸造もや る気がまったく無いのである。日頃から適当な仕事をしているので、今日もゆっくりが入 っている事を、完全に見逃してしまったようである。 「おそらがまわってるみたいいいいい!?」 樽の上部にいたまりさが、樽が立てられた事によって底部へと滑り落ちる。 「「ゆべぇ!!」」 そして、そのまま底部にいたれいみゅとまりちゃを潰してしまう。 「「ゆ゛っ……ゆ゛っ……ゆ゛っ……ゆ゛っ……」」 まりさに押しつぶされてしまったれいみゅとまりちゃは、若干の餡子を吐いた後、痙攣 を始める。このまま放置しては、間違いなく永遠にゆっくりしてしまうだろう。このレベ ルの傷を治療するためには、あまあまが必要不可欠である。しかし、ここはゆっくり一家 以外には塵一つない樽の中。あまあまなんて、絶対にあるわけがない。しかし、その時で あった。 ジョボジョボジョボジョボジョボジョボ…… 一家の入った樽の中に、赤紫色の液体が注がれていく。樽が満たされると同時に、人間 によって樽の蓋が閉めらた。それにより、一家は樽の外に出ることができなくなってしま った。 (ゆぅ……まりさたちはここでえいえんにゆっくりするんだね……) まりさは一家全員が永遠にゆっくりする事を覚悟した。まりさの両親は、まりさが巣立 つ直前に、まりさの妹の妹れいむを助ける為に、村のはずれの池に落ちて、皮がふやけて 体内の餡子が漏れ出し、妹共々永遠にゆっくりしたのだ。なので、まりさはこの状況がい かに絶望的な物なのかが瞬時に理解できたのである。 しかし、何時まで経ってもまりさの中身が溶け出していく感覚がないのである。まりさ は恐る恐る目を開けてみた。すると、自分の皮はまったく溶けておらず、周りを漂ってい る家族も平気のようであった。それどころか、先ほどまで瀕死の重症だったれいみゅとま りちゃが、赤紫の液体の中を元気に泳ぎ回っているではないか。 「れいむ……? おちびちゃんたち……? おからだはだいじょうぶなの!?」 まりさが家族に問いかける。 「ゆんっ! まりさっ! れいむはなんともないよっ! それに、なんだかげんきがわ いてくるよっ!」 「おちょーしゃん、れいみゅはとってもげんきげんきなんだよっ!」 「まりしゃもなんだじぇ! このあまあまなえきたいさんは、とってもゆっくりできる んだじぇ!」 そう、現在この家族が浸かっているのは、この村の特産品であるブドウの果汁なのであ る。ゆっくり達にとって、極上のあまあまとも呼べるブドウ果汁に浸かった一家は、皮が 水分によってふやけても、あまあま効果により、ふやけた部分が一瞬で回復するため、永 遠にゆっくりすることが無いという訳である。 「それににぇ、おちょーしゃん。このあまあまさんは、ちょっとだけごーくごくしただ けで、おなかがいーっぱいになれるんだよ!」 「お、おちびちゃん! このえきたいさんをのんだのっ!?」 ブドウ果汁は、ゆっくりにとって万能薬であると共に、最高級の食料にもなる。濃厚な ブドウ果汁は、ほんの少量でゆっくり達の満腹中枢を刺激するのである。 「まりさ、ここはさいっこうっのゆっくりぷれいすだね! おそとでのーびのび、ごー ろごろできないのはざんっねんっだけど、ずっとここでゆっくりしようね!」 れいむはこのゆっくりプレイスを大変気に入ったようだ。れいみゅとまりちゃも、れい むと同じ意見の様子である。考えて見れば、捕食種や動物等の天敵の危険もなく、極上の あまあまがいくらでも手に入り、何故だか体の調子もすこぶる良い。そんな条件の揃った この場所は、最高のゆっくりプレイスに違いない。そのように、まりさも考えた。 「そうだねっ! このさいっこうっ! のゆっくりぷれいすで、ずっとゆっくりしてい こうね!」 「「「ゆうううううっー!!!」」」 ――数週間後 「おちびちゃんたち! そんなにはしゃいだら、けがしちゃうよっ!」 「「「「「ゆっくちりきゃいしちゃよ!!!」」」」」 「ゆーん! だいじょうぶだよ、まりさ! あまあまさんのなかにいれば、けがさんは どこかへいっちゃうからねっ!」 元気すぎる程にはしゃぎ回る、五匹のおちびちゃん達。それを優しく叱るまりさと、そ れを嗜めるれいむ。そう、れいむとまりさは数週間前に新しいおちびちゃん達を産んだの である。 「ゆぅぅぅぅん! まりさのいもうとたちは、とってもゆっくりしてるんだぜ!」 「ゆんっ! まりさもれいむと、もっともっとゆっくりしようね!」 それを見て嬉し涙を流しているのは、高栄養の環境下であっという間に成体にまで成長 したれいみゅとまりちゃだ。他ゆんのいないこの環境において、二匹は当然のように番と なった。今、れいみゅのお腹には数匹の新しい命が宿っている。 「「「「「「「「みんなでずっと、ずーっとゆっくりしようね!!!」」」」」」」」 ――二ヶ月後 「ゆ……にゃんだが……うみゃくしゃべれにゃいよ……?」 ゆっくり達に変化が起きていた。どのゆっくり達も上手く言葉を喋ることができなくな ったのである。 「ふぁりざぁ……でみょ、なんだきゃきもてぃいぃよぉぉ……ひっく!」 ゆっくり達がこうなってしまった原因は、ワインに含まれているアルコールである。元 々ゆっくり達が入っていた樽は、ワインを熟成させる為の樽である。ある程度の月日が経 った事によって、樽の中のブドウ果汁が、ワインへと変化していったのである。食料とし て、毎日少量ずつ果汁を摂取していたゆっくり達は、徐々にブドウ果汁の中に発生してい ったアルコールの作用によって酔っ払ってしまったのだ。 しかし、酔っ払って、ふーらふーらしてしまう事以外は問題はないようだ。酔っ払った 時特有の気分の良さは、ゆっくり達にとっても悪くない物ではなかったようだ。ゆっくり 達は、特に気にする事無くそのままの生活を続けていった…… ――そして月日は経ち 「どぼぢでえぎだいざんにゃぐにゃっでりゅの゛お゛お゛お゛お゛!?」 樽の中のワインも無限に湧いてくる訳ではなく、最初に入れられた分しか存在しないの である。たとえ一度の消費量が少量でも、無計画ににんっしんっ! をして増えていった ゆっくり達を長期的に養っていく事など、出来るわけがなかったのだ。 「どぼぢで! どぼぢでな゛の゛お゛お゛お゛お゛!」 「――あん……?」 一人の男が、樽の中からゆっくりの声がしている事に気付いた。彼はこの物置でワイン を製造している農家。つまり、ゆっくりを樽の中に放置した男の親父である。彼は定期的 にこの物置を訪れていた。樽の中がワインで満たされていた期間は、そのお陰もあってゆ っくりがいくら騒いでも聞こえることは無かったが、中のワインが殆ど無くなった今、ゆ っくり達の騒ぎ声が、外に響くことになったのであった。 男が樽の蓋を開けてみると、樽一杯に入っているはずのワインが無くなっており、代わ りに樽の半分の高さまで、増えに増えたゆっくり達が、ぎっしりと詰まっていた。 「ゆっきゅりー!」 「ゆっきゅりしちぇいってにぇーー!」 「ゆっきゅりしちゃいよぉー!」 その全てが赤ゆ言葉を喋っている。いや、赤ゆ言葉ではない。その言葉を発しているゆ っくりのサイズは、赤ゆサイズから成体サイズまで、幅広かったのである。男は考えを巡 らせる。 「ワイン樽に入った、居るはずの無いゆっくり……その代わりに消えたワイン……そう か、こいつら、ワインを全部飲みやがったな?」 樽の中に入ったゆっくりを一匹だけ取り出して、じっくりと観察してみる。じっくりと 見たゆっくりの顔は、『アヘ顔』と言うのがしっくりくる程、憎たらしく、醜い顔である と言える。皮は赤紫色に変色しており、腐っているのではないかと勘違いしてしまいそう である。しかし、男は思った。 (このゆっくり、普通のゆっくりとは違う、とても良い香りがする。食用ゆっくりは何 度か食した事があるが、ここまで良い香りはしなかった。野良で汚そうだが、強制アルコ ール消毒されているだろうから、大丈夫か……?) 男はおもむろにゆっくりを掴むと、そのまま一気に食いちぎった。 「もぐもぐ……上品な甘み、ブランデーチョコを食べたときのように、口の中に広がる 芳醇さ……これは、旨い! 今までのゆっくりが子供のおやつだとしたら、このゆっくり は、正に”大人の味わい”だ!!!!!」 男は、ワイン漬けゆっくりの美味しさに驚愕した。これは商売になる。そんな予感が男 の中に駆け巡っていた。 「「「「ゆっぎゅちぃぃぃ! ゆっぎゅぢじじぇいっじぇねええええええ!」」」 男の考え等知らないゆっくりは、今後の自分達の未来も知らず、アルコールの効果によ って、好きなだけ騒ぎ続けていた。 ――数年後 男が興した会社が東京に進出した。支店長を務めるのは、あのやる気の無かった息子で ある。元々能力はあったらしく、立派に支店長の仕事をこなしているようだ。 会社の目玉商品は『大人のゆっくり』名前は某ふりかけの名前からインスパイヤされて 付けられた。種類もれいむ、まりさ、ありす、ぱちゅりー、ちぇんと豊富。近日中には高 級贈呈品として、中身が抹茶餡のさなえも発売されるという。 ゆっくり加工食品は、ゆっくり加工所がほぼ百パーセントのシェアを誇ってきたが、こ の会社の登場により、シェアの十パーセントを奪われたという。今や立派なライバル企業 である。 男の農村も、今では『ブドウ』の村ではなく、『ブドウとゆっくりの村』として町おこ しを始めた。男の会社の経営する大きな加工施設も建造され、毎日フル可動している。 「一時はワインを樽一つ丸々失うことになると思って青ざめたが、まさかこんな結果に なるとはな。被害者から一変して成功者。本当にゆっくりには感謝しなくちゃな」 男が過去を振り返って、呟く。この事件の本当の被害者は…… 「だずげてええええええ! でいぶだぢがなにがわるいごとじだっでいうのおおおおお おおお!?」 「ゆがああああああ! だれがばりざをだずげろお゛お゛お゛お゛お゛」 男の村で積極的に狩られ、大人のゆっくりの原料として使われるようになった、ゆっく り達なのかもしれない。 END あとがき 実際のワインの醸造は、ある程度タンクで発酵が進んだ状態で樽に移されて、そこから 熟成に入るらしいです。この作品の場合は素人が作ったということで…… 一般人は無許可で酒を作るのは違法と知ったのは作品を書いた後なので、ご容赦を。 コンバートあき いままで書いた作品 anko2495 一番多いゆっくりは anko2498 日本を支える一大産業(本編) anko2501 胴付きになりたかったまりさ anko2503 新たなエネルギー源 anko2504 冷凍ゆっくり anko2514 新発見、ゆっくりの新しい移動法 anko2516 読書の秋 anko2561 すぃーはゆっくりできない anko2737 イヴの夜に anko2751 ゆっくり餅 anko2753 共生 anko2758 作ろう!ドスまりさ! 挿絵:○○あき
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1280.html
紅魔館 幻想郷と呼ばれる、非常識のモノが集う土地に存在する悪魔の館である。 人間は恐れて近付かず、妖怪は畏れて近付かず、その他の者は色々あって近付かないその館には悪魔に忠誠を誓った人間が一人居た。 時を操れるという人間を逸脱した能力を持つ彼女は、その能力故に同胞である人間から疎まれ、○年前にここの悪魔に拾われ側近となった。 十六夜咲夜。それが悪魔が彼女に与えた名前である。 そんな彼女は、日々完全で瀟洒なメイド長として主に奉仕するのである。 「そろそろ対処しないとマズいかしらね」 瀟洒にそしてアンニュイに呟く咲夜(脳内CV田中理恵)。視線の先には中庭で踊る複数の生物。 ゆっくりれみりゃというそれらは、最近突如として紅魔館周辺に現れた謎の生物だ。何でも中は肉まんだとか。 そんな馬鹿げた生物を、紅魔館雇われのメイド妖精達は大層可愛がった。 多少我侭ではあるが見た目は可愛いらしい童女で、その仕草にも愛嬌があり、遊んでやるとよく懐いた。 ただそれらの生物には問題がある。そのゆっくりれみりゃは紅魔館の主である吸血鬼、レミリア・スカーレットと同じような容姿なのだ。 勿論同じような、と言っても彼女達の主を相当デフォルメしたような顔形でしかないのだが。 容姿が多少似ているだけならまだ良かった。だがゆっくりれみりゃ達はここが快適な場所だと学習したのか、 どんどん仲間を呼び寄せ今や紅魔館周辺には常時数十匹のゆっくりれみりゃが確認でき、中庭どころか館内にまで侵入するものもいる。 門番はと言えば、そんなゆっくり達をあっさり見過ごしていた。主と同じような服装のせいもあるだろう。 とにかくそのような状況は、面子を重んじる吸血鬼たる主に仕える者として見過ごせないものだった。 「こんな事でお嬢様のお休みの邪魔をしてまでお伺いを立てる必要は無いわね。夜までに全て始末してしまえばいいか」 決定した。この日、紅魔館敷地内のゆっくりれみりゃは悉くこの世から消えてなくなると。 できれば後腐れ無く処分したい。メイド達に菓子で館の外にいるゆっくりれみりゃを中庭におびき寄せるよう指示を出す咲夜。 サボりがち門番には中に入るゆっくりは全て通し、中からは一匹たりとも逃がさないようにナイフと共に命令を下す。 そして主の友人である魔法使い、パチュリー・ノーレッジにゆっくり達の焼却処分を頼む。 図書館を度々荒らしに来るのに迷惑していたらしく二つ返事で引き受けてくれた。 後で掃除が大変そうだ、とぼやきながら咲夜も行動を開始する。既に館内に入り込んでいるゆっくりを中庭に移送するのだ。 こういう時咲夜の能力は非常に便利だ。チョロチョロと動き回る複数の目標を、この広い館の中探し回るのは普通なら大変だ。 だが彼女はザ・ワールd…時を操る能力を持つ。時間を止めてしまえば文字通り時間をかけずに目標を見つけ出す事が可能だ。 じっくりと探せば居るわ居るわ。図書館と主の部屋、それと地下室には一匹も居なかったが、他はブリブリ入り込んでいる。 正直彼女の予想を大きく越えていた。大方メイド達が裏口等からこっそり中に入れて可愛がっていたのだろう。 キッチンには13匹。主とその妹専用の食料はメイド長である咲夜しか入れない部屋に保管してあるので無事だった。 だが妖精メイド用の食事は酷い有様だった。ここまで食い散らかされてよく可愛がれるものだ。そこは妖精、という事なのだろうか。 ちなみに咲夜はきっちり自分の分の食料を別に保管してあるのでこれまた無事だった。瀟洒瀟洒瀟洒瀟酒瀟洒! とりあえず逃げられないように全員をナイフで床に縫いとめる。 「ううぅー!はなちてくれないと、たべちゃうぞー!!」 「それは怖いわね。怖いから、とりあえず羽を奪わせてもらうわ」 抗議するゆっくり達にそう答えつつ、淡々と背中に生えた羽をもぎ取って回る咲夜。もいだ羽は適当なゆっくりの口の中へ。 「むぐっ!んぎゅー!んぐー!!」 首を振っていやいやと言う様に暴れるゆっくり。吐き出されると床が汚れてしまうので飲み込むまで口を押さえる咲夜。 散々えづきながら全て飲み込むゆっくり。口の中に何も入っていないのを確認すると咲夜はそのゆっくりを抱え上げた。 びりびりと服が破れるが気にしない。これ位なら後で掃除しても構わない。 「うぅー!!やべてー!!おべべがやぶれちゃーうー!!」 大声を出しながら暴れるゆっくり。どんなに暴れても所詮は饅頭に胴体が生えただけの代物。 瀟洒な彼女のすらりとした腕から逃げる事は叶わない。 そんな、この『おうち』の『ごしゅじんさま』である筈の自分達をまるで『物』のように扱う咲夜に怒りを抱いた他のゆっくりも、 咲夜に向かって抗議しまくる。が、駄目っ……!瀟洒な上に完全な咲夜はそんな雑音等気にも留めず、次々とゆっくりを中庭に運び出す。 ちなみにその間ナイフを抜いて逃げようとするようなゆっくりは居なかった。 羽をもがれてもまだ自分達の身に危険が迫っていると思えないのかもしれない。 その後も順調に館内のゆっくりを回収して回る咲夜。結局館内には合計45匹のゆっくりが入り込んでいた。これはひどい。 全て回収する頃には日も傾きかけ、周辺に生息するゆっくりや森の中のゆっくりも粗方中庭に連れて来られていた。 外に出ようとして歩いていく者は門番に蹴り飛ばされ、飛んで出ようとする者は叩き落されていた。楽しそうだ。 いつもあれ位ハッスルしてくれればいいのに。 準備が整ったので、図書館にいるパチュリーを呼びに行く咲夜。 どうやら図書館に居ながらにして状況を把握したらしい。パチュリーは扉を開ける前に出てきた。 「じゃあ行きましょう。中庭に集めてあるのよね?」 「はいパチュリー様」 ゆっくり達の死刑執行人が中庭に現れた。 相変わらず門番に蹴られたり殴られたり投げられたりしているゆっくり達。 泣き声やら怒鳴る声やら気合いの掛け声やらで酷い喧騒だ。さっさと処分してもらおう。 「ではパチュリー様、宜しくお願いします」 「ええ」 パチュリーがゆっくり達の方を睨むと、あちこちへ散ろうとしていたゆっくり達が一斉に空中に浮かび上がった。 そして空中のある一点へとどんどん集まっていく。その中にチャイナ服を来た女性も混じっていたが誰も気にしない。 「うー♪うー♪おそらおそら♪ぶーん♪」「たかいたかーい♪うっうー♪」「ひええええええパチュリー様、下ろしてくださ~い!」 「もっちゃらへっぴ~もけもけさ~」 パチュリーが早口で何事か呟き始める。すると空中の一点に集められたゆっくり達(+門番)の周囲に模様のようなものが浮かび上がる。 「もっちゃらほげほげっもっちゃらほげほげ!」 呪文を唱え終わると同時に、ゆっくり達(+中国)が激しく燃え上がる。 「う゛う゛う゛う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 「あ゛づい゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 「ざぐや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!だずげでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「きゃあああ!!熱い!熱いですパチュリー様!たーすーけーてーくーだーさーい!!」 凄まじい悲鳴が上がる。ゆっくり達にとっての地獄がそこにあった。妖精達は怯えている。 しばらくすると悲鳴も約1名分を除いて段々聞こえてこなくなり、ジューシーな香りがあたりに漂い始めた。 完全にゆっくり達を焼却し終えると、パチュリーはさっさと図書館に戻っていった。 真っ黒に焦げた人影がドサリと地面に落ちる。 「……えーと、大丈夫かしら美鈴?」 「うぅ……ひどいですパチュリー様ぁ……がくっ」 どうやら無事の様なので構わず館内に戻る咲夜。どうやらこのような光景は日常らしく、他のメイド達も動じない。 数分後、まだ伸びている美鈴の前に咲夜が再びやってきた。手には救急箱を持っている。 「ほら、手当てしてあげるから起きなさい。今度のは貴女に落ち度は無いからね」 「うわあ!咲夜さんにも人並みの優しさがあったんですね!!血も涙も無い訳ではなかったんですね!!私感動しました!!」 そう叫んで咲夜に抱きつく美鈴。次の瞬間には額からナイフを生やして撃沈。 「どうやら手当ては必要無いみたいね。じゃあ、私はそろそろお嬢様を起こしに行かないといけないから」 「そ、それでこそ私の咲夜さんです……がくり」 大掃除が終わって幾分晴れ晴れとした表情で、主の眠る部屋へ瀟洒に歩いていく咲夜であった。 PERFECT END!! 作:完全にして瀟洒に踏まれたい妖精紳士ことミコスリ=ハン